今日は読んだ本の話を書きます。
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田辺聖子さんの「ジョゼと虎と魚たち」を読了しました。
昔、映画になってて、最近、アニメになっていました。
映画の方は何かのタイミングで見たことがあります。
この本を読もうと思ったきっかけは、これが短編集だと知って、「え?」ってなった。映画にまでなった話が短編ってどういうことなのだ? 読みたい、と思った。
この短編集は9話あるのですけど、まずはジョゼから読みました。
映画とは全く違うやん。
ぜんぜん違いました。ジョゼがすごくキュートで、人形っぽい感じですから、人間が演じると魅力が薄くなるのかもしれません。
ストーリーも印象と違う、あまり覚えていないけど、かなり違った。
上野樹里的な人は出てこなかった。かなりかなり脚色されている。
ジョゼの頭の中のファンタジックさと、身体障害者であることと、それでもツンデレなところが、色々混ざって魅力的なんですが、それをリアルで描写しようとするとチープになってしまうような感じでしょうか。
こういう点で、映画にも漫画にもない文章の力を感じたところです。
他の話も読みましたけど、「ああ、文学だなぁ」と思うのです。言葉の力で心を刺してくるんですよ。文章表現で心を刺す。
ちょっとした一文で主人公のキャラが浮かび上がってきて、ハッとする。やられたと思う。
どの話も大事件は起きないのです。誰かが死んだり、ライバルが出てきたり、夢を達成したりしない。女性が主人公で、元カレだったり、愛人だったり、ちょっとした男との関係をふわふわと暴いていく感じ。
それでも読み進めてしまって、また読みたいなぁと思ってしまうのが、文学ですね。
文学の力ですね。
恋愛モノではあるのですけど、「片思いしてるけど付き合えるかなぁ、どうしよう、ドキドキ」とか、「せっかく両思いになったのに周りの反対にあってタイヘン」みたいな王道展開ではなくて、、、
「好きよ、好きだけどね、私は私を譲れない。だってそれが私の幸せだもの」みたいな感じで、ふんわり終わるのです。「こんな私よ」ってね。
ですから、私は「そんな生き方があったのか、へぇ、いいですね」みたいな、友達に目を向けるような感想を抱いているかも知れません。
「そっか、どこかで出会えたらいいね」みたいな。
2話目の「うすうす知ってた」の梢さんが、面白くてとても良いですね。こっそりやる奇行。心通づるものがある。
とまぁ、楽しく読めました。時々心を刺されながらです。
特に、映画を見る前に原作を読んだほうが良いと実感しました。役者が自分のイメージと違ったら、どうしようもないですからね。
男女では感想がかなり違うのかな? どうかな?
女性の感想も聞いてみたいですね。
以上です。
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