にわとり飼いたいなー、合理的だなー、と思っていた。
玉子を生んでくれるし、いざとなればその肉を食べられる。残飯や雑草、虫などを食ってきれいにしてくれる。
そんな鶏のいる生活を、小屋暮らし時代から夢想していたのだ。

まずはよくある悪評を払拭しよう。
「臭い」→これはコンクリートの上で飼うから臭くなる、土の上で飼えばよい。
「鳴き声がうるさい」→コケッコーと大きく鳴くのはオスだけ。
「気持ち悪い」→知らん!
とまぁ、メスであればペット的に飼うのは可能である。

では飼うとして、どうやって入手するか?
5つほど考えられる。
・孵卵場から買う → 大量購入が必要で、素人には難しい。
・養鶏場で分けてもらう → 各養鶏場によるので個別に相談。
・ペットショップで買う → 売ってるところはあるらしいが、近所では見つからなかった。
・個人間取引 → ジモティーやその他で里親募集が出されることがある。
・有精卵を孵す → 一定の条件を満たせば卵からひよこが孵る。

おそらく、養鶏場で分けてもらう方法が一番確実で安くつくと思います。
しかし、調べていくうちに、孵卵に興味が湧いてしまった。
卵がひよこになって、それが鶏になる。あたり前のことだが、神秘的だ。
ああ、卵を孵してみたい。

正攻法としては「孵卵器」を購入し、有精卵を温め、21日間管理する。
ネットを見れば孵卵器は色々と売っている。2000円からある。
しかし、安いものは品質が安定せぬようで、失敗も多いようだ。8000円くらいから評価が上がってくるみたい。

しかし、8000円を孵卵器に使うなら、成鶏を買った方が安いじゃないか。あるいは8000円で玉子を何個買えるんだ? 10個が250円としたら320個分に相当する。
合理性が崩れてしまう。

じゃあさぁ、孵卵器を自作できないか?
自分の手作り孵卵器で、卵を孵す。
鳥たちは自然にやっていることなので、簡単なのではないか?
いや、1つだけ難しい。

鶏の孵卵の条件を調べてみると、温度、湿度、転卵の3要件が大事。
・温度は37.5くらいを保つ
・湿度は50%~60%を保つ、後に65%くらいに上げる。
・転卵は1時間に1回90度回転させるのが望ましい。(1日4回、6時間に1回でもなんとかなるという情報もある)
この3つを自動化する装置が孵卵器ってことだ。

温度と湿度は簡単そうだ、ヒーターも加湿器も売ってる。
だが、問題は転卵。卵を回転させる装置は……、何かで代用できるものでもないし……。
ああ、難しそうだ。やっぱりやめとこう。オスが生まれてきた時のことも考えねばならんし。

孵卵は諦めよう。
玉子なんて安いんだから買えばいい。命を扱うなんて重いだろ。ひよこが孵るのはちょっと怖いだろ。死んじゃったらどうするんだ。
お前には無理だ、お前には無理だ、無理だ、無理だ。
自己肯定感が低下し、気の抜けた生活を送った。
張り合いのない日々、酒の量ばかりが増える。一口だけのつもりでワインを買うが一晩で瓶が空になる。

ふと気がつくと、鶏の飼い方ばかりを検索してしまう。
一度描いた夢はなかなか払拭できないんだよなぁ。あの夢もこの夢も、行動力を引き出してくれないのに、焦燥感ばかりが募る。
声が聞こえる。
「大したリスクじゃないんやから、やってみろよ!」
そうだそうだ、失敗してもいいじゃないか。
転卵も手作業でやればいいじゃないか。
失敗してもいい。とにかく動き出してみよう。

こうして拙者のチャレンジは始まる。

つづく!

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投稿者: 石黒わらじろう

京都の古い民家で暮らしている。 趣味はランニングとブログと盆踊りを含むフォークダンス。 別名義で書いた小説は映画の原作として採用された。 自分で建てた小屋にて暮らしていたことがある強靭な狂人。 地球にも自分にも健康な生活がしたい。

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