40歳を越えてしまうと、新しい活動に踏み出すのが億劫になってくる。
未来への妄想よりも、やらない理由ばかりが頭に浮かぶ。
だがやはり、やったことないことはトキメキが大きい。
鴨川遡上ランによって我が少年の夏が戻った。

拙者はゆるいランニングクラブに所属している。当然ながら走った後にビールを飲む系だ。
先月のことだ。7月の京都を走った後、皆でクラフトビールを飲んでいると、「鴨川遡上ラン」の話題で盛り上がった。
何やら京大生が鴨川を三条から出町柳まで遡上するランニング大会をしているとのこと。
我々もやってみたいではないか、どんな靴が良いのか? そもそも法律的には大丈夫なのか? と花が咲いた。共通の話題に乏しいクラブメンバーが一つの話題で盛り上がるのは珍しいことである。
そして、嵐山耐熱リレーマラソンを完走したテンションでテストプレイが決まったのである。

しかし、話は二転三転した。
当初は三条京阪集合だったのが七条のお店集合になったり、三条から入水する予定が五条からになったり、この変更に翻弄されたメンバーもいたことだろう。
当日、15時集合。こういう危険が伴うテストプレイに参加する人は10人くらいかな、と思っていたが、20人近くが参加することになり、思い思いのシューズで賑々しく走る。どうなることかとワクワクを抱えながら、鴨川のリバーサイドを七条から五条まで行軍する。
そして、入水である。

臭いとか、汚いという感想はない。
しかし、鴨川はぬめぬめでゴツゴツであった。
拙者のイメージではジャバジャバと水を切って駆け抜ける足のハズだったが、現実は「気をつけないと転んで怪我をする!」という危機感に恐る恐る足を進めるしかない。
ところによっては浅瀬で砂地の場所もあるのだが、おおむね握りこぶし大の石がゴツゴツしていたし、石にへばりついた藻が拙者を転ばそうとする。
また、砂利がシューズの中に侵入し足を刺す。
山道よりももっともっと慎重に歩みを進めた。

水深は膝まで浸かるくらいの場所が多いが、思いのほか深い場所があり肩まで浸かりそうで怖い。また、四条大橋や三条大橋の手前には堰があり行く手を阻む。流れる水に逆らってテーブルに上がるくらいの高さ。
当然ながら、四条や三条の河川敷には等間隔に並んだ人々がいて、何者たちかと怪訝な様子で見られていたと思う。が、とにかく危ないのでそちら側に気を配る余裕はなかった。

拙者は先頭を切って進んだので、他のメンバーを待つ時間が豊富だった。
そうして、鴨川の真ん中で立ち止まると、さんさんと照りつける夏の陽光の下で、水面を撫でる風がついでに我が体を撫でていく。涼しい。
川下には仲間たちの姿がある。
トキメキが止まらないのは、少年の夏に似ている。

こういったテンションのままでクラフトビールを飲んで、その度数が11%だったりしたもんだから、楽しすぎて、外国の方や知らぬ女性とお喋りして、ヘロヘロになって、記憶がおぼろげである。
ただ、藻の匂いが染み付いたシューズが残っただけだ。
洗濯しないとな。


これは違法行為なのではないか? と心配になる人もいるだろうけど、メンバーそれぞれが調査した結果、特に問題はないとの結論になった。
河川管理事務所としては、日焼け止めなどを塗って入ると汚れるのでやめて欲しいとのことらしい。
拙者は夏まつりの際に府議会議員さんに尋ねてみたが、特に禁止するものではないとのことだった。

この活動に良い点を見出すとしたら、川の水質に関心が湧くことだろうか? 次回は川の自然環境を学ぶ座学とセットで遊んだら良いかもしれない。
また個人的には、レースとして競いたい気持ちを持っている。
コース取りや装備品などの工夫を凝らして競争したい。
鴨川王に俺はなる!

とにかく、危ないので安易に真似はしないで下さいね。
新しい活動には億劫になってしまうけど、チャレンジングなコミュニティに所属していれば、まだまだワクワクできるかな~と思うところ。
このランニングクラブに参加してみたい人は拙者にご一報下さい。紹介します。

以上。

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投稿者: 石黒わらじろう

京都の古い民家で暮らしている。 趣味はランニングとブログと盆踊りを含むフォークダンス。 別名義で書いた小説は映画の原作として採用された。 自分で建てた小屋にて暮らしていたことがある強靭な狂人。 地球にも自分にも健康な生活がしたい。

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