養鶏業をやりたいな、と思っている。ここ1年くらい思っている。
だから、京都府に問い合わせて畜産センターなるものを見学させてもらった。
逆に夢が打ち砕かれた。
自分がやりたい養鶏はこういのじゃない、と思った。

拙者はもうすでに養鶏をしている。庭でニワトリを飼っているのだ。
最初の動機は雑草対策で、雑草を有効利用しつつ雑草をなくす方法はなかろうかと考えた。
最近はヤギでの除草が有名だが、ヤギを入手するには万単位のお金が必要だし、ヤギの腹を毎日満たすほど庭は広くないのだ。
そこでニワトリである。
実際に除草効果は見込める。

最初はニワトリを売っているところが分からなくて、卵から孵すと決めて、孵卵器も自作したものだから何度も何度も失敗し、せっかく孵化してくれたのにイタチに食われ、野良猫に食われ、それでも生き残った1羽は卵を産むようになった。
この間、孵化について研究し、イタチに食われない方法を研究し、わな猟免許を取ったりし、いつしか雑草対策はどうでもよくなり、庭は草ボーボーのままニワトリだけを一生懸命に育てるようになった。
目的と手段がぐちゃぐちゃになるのはいつものことである。

獣害対策も含めて、もっと良い環境でニワトリを飼育したいと夢に描く。
ニワトリが大地を駆け回る姿を見ながら、お茶を飲みたいのだ。檻の中に閉じ込めずに元気な姿を見たいのだ。
業として養鶏をすれば、理想の環境を作ってやれるのかもしれない、と算段する。

こうして京都府の担当部署に問い合わせてみたのだが、理想通りにはいかないようだ。
1つは鳥インフルエンザの問題がある。
京都府に問い合わせたところ、庭で飼っている情報を明かしてしまい、羽数の報告を求められるとともに、防疫の職員が飼育状況をチェックしに来ることになった。
家に行政の職員が来るなんて実に面倒くさい。
その視察はクリアしたのだが、ニワトリを飼うにはきちんと囲われた場所で飼育員の消毒なども徹底して、要するにクローズな環境でやるのが望ましいようだ。
そうしないと、鳥インフルエンザが拡がってしまう。

2つは経済の問題。
業として養鶏でお金を稼ぐとなると、効率性を目指すことになり、限られたスペースにニワトリを押し込めることになる。
そうしないと、卵も肉もめちゃめちゃ高値で売らねばならなくなる。
ケージ飼いのニワトリを見せてもらったが、狭いスペースに閉じ込められて心が痛くなった。

こういう現状を目の当たりにして、ただただ甘い理想を描いていただけだと思い知らされた。
養鶏業はやりたいのだが、拙者のやりたい養鶏はそういうのじゃない。

で、どうするか?
というのは、考え中。

たとえば、ケージ飼いのニワトリを少しでも減らすために、平飼いのニワトリ飼育をめちゃめちゃ頑張る、って方法があるかもしれない。
アニマル・ウェルフェアの社会運動を活発化させる方向があるかもしれない。
家庭養鶏を拡めるも良いかもしれん。
現実を知ってもなお、理想的な環境でニワトリを飼いたいという想いは、握りしめたままだ。

そもそも鳥インフルエンザ対策ってどうなんだ?
ケージ飼いで過密なニワトリと土の上を駆け回るニワトリで健康状態がぜんぜん違うと思うのだが、法の下で同じ対策をするのは違うんじゃないか?
病弱になる環境で飼育しているから、40万羽殺処分、みたいな残酷な状況になるのではないか?

そんなこんなで、色々と考えながら、学びながら、育てながら育ちながら、新たな経験をしているところだ。
とりあえずはケージ飼いの卵は買わないでおこうと決意した。
もう少し庭のニワトリが卵を生んでくれたら解決する。
頑張れ! 庭のニワトリ!

以上。

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投稿者: 石黒わらじろう

京都の古い民家で暮らしている。 趣味はランニングとブログと盆踊りを含むフォークダンス。 別名義で書いた小説は映画の原作として採用された。 自分で建てた小屋にて暮らしていたことがある強靭な狂人。 地球にも自分にも健康な生活がしたい。

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