カテゴリー: 旅ラン

  • 郡上の徹夜おどりに行ったけど、台風のせいで…【1.拝殿おどり・白鳥おどり編】

    郡上の徹夜おどりに行ったけど、台風のせいで…【1.拝殿おどり・白鳥おどり編】

    人の行き来が激しくなるお盆に台風が来るなんてどうかしてるし、
    台風が来ると分かっているのに郡上八幡の徹夜おどりに行くと決断するのもどうかしている。台風からは逃げられると信じていたのだが……。

    8月14日、連日の盆踊りで眠たい体を無理やり起こし、朝の8:40に京都駅を出発する高速バスに乗り、だいたい予定通りの12時前に郡上八幡インターに到着した時、空は晴れわたり日差しが暑かった。長良川のダイナミックな流れや小高い山の緑を見ると旅情があふれ、徹夜踊りを味わえる高揚感に足取りが軽くなった。
    しかし、すぐさま不安に苛まれることになる。
    予約していた帰りのバスの運休が決定した。
    こうして、3つほど予期せぬ出来事に出くわした旅が始まったのである。

    日本3大盆踊りをご存知だろうか?
    みなまでは言わないが、一つは岐阜県郡上八幡市の郡上おどりである。
    水が豊かな城下町で、長い日数実施されるし、お盆の4日間は徹夜で踊り明かすことでも有名。音頭と下駄の音が朝まで鳴り響く。

    拙者は郡上おどりin京都を4回ほど体験したし、現地の徹夜おどりも1度だけ体験済みである。
    また行きたいなと思いつつ、コロナ禍に阻まれていた。
    そして今年、ようやく完全復活を遂げる。行かねば、行かねば。

    だが、どうやって行こうか?
    バイクで走って、キャンプで1泊するのはどうか? という案も考えていた。これをすれば、白鳥おどりにも参加できる。
    あるいは、前回同様の0泊の高速バス弾丸トラベルはどうか? 徹夜おどりなので、宿泊する必要はないのである。
    考えているうちに、ヒヨコが孵化したり、でもいなくなったり、台風が来たりして、高速バス弾丸トラベルを選択する事になった。
    結果論として選択は失敗であった。撃ち放った弾は途中で失速し、帰れなくなったのである。
    バス会社は復路の対案も示さぬまま運休の連絡をよこした。

    さて、どうやって帰ろうか?
    と深くは考えないことにした。
    まずは踊り用の下駄を買う。遅い時間になると混雑するので早めに買ったほうが良い。

    次に、郡上八幡に来たらやりたいことがあった。
    それは川遊びである。
    町のすぐ近くを流れる川(吉田川)で遊ぶ人が多く、また橋の上から飛び込むのも有名である。
    泳ぐのが苦手であったがこの5年間で拙者は変わった。泳げる場所では泳ぎたい。
    家から水泳用のインナーを身につけてきたので、後は脱ぐだけ。
    暑い日なので川遊びする若者は多かった。まずは恐る恐る川に浸かってみる。
    冷たい。ひえひえだ。琵琶湖や温水プールに慣れた体には、想定外の冷たさだ。水は濁っていて清流とは言えない。どんな深さなのか全く分からない。
    初体験の拙者を横に、勝手知ったる人たちは岩場や橋から飛び込んでいる。
    自分もチャレンジしてみるべきだと思った。

    拙者は度胸も無鉄砲さもあるので、落ちるのはできる。
    しかしながら、飛んだ後は恐怖で身がすくむし、おっさんなのに「キャア」と声が出てしまう、入水時のフォームも悪くてめちゃめちゃ衝撃を受けてしまう。
    そこそこ町中で育ったから苦手なのはしょうがないよな、と自分を慰めたけれど、田舎で育ったとしても苦手だっただろうな。

    この川の冷たさに味をしめて、気温が暑くてもランニングができると確信した。
    周囲をぐるりと走り、町を体感した。特徴的なのはやはり水の豊かさ。鮎釣りの人をよく見かけるし、水を引いた場所をそこかしこで見かける。
    城山にもアタックし、満足感を得た。トータル7km。
    そして、再び川岸に行き、汗びしょびしょのウェアを脱ぎ、岩場から川に飛び込む。
    やはり怖くて「キャア」と声が出てしまうし、入水が下手でキンタマに衝撃を食らった。
    町中育ちなのでしょうがない。

    その後の時間は、旅先の暇時間になり、本来であれば夕食を食べて、夜8時の踊りスタートを待つだけだが、意外なエピソードを挟まねばならない。
    7月の高島おどりにてご縁をいただいたのだが、郡上おどりを含む奥美濃の踊りに詳しい方と連絡をやり取りする関係になり、「白鳥の拝殿おどりの練習会に行ってみませんか?」とお誘いをいただいた。「足がないので今回は厳しい」とお答えしたところ、「送迎しますよ」とのこと。最近は他力本願を念頭においているので、こういうお誘いは極力受けることにしており、「折角なので行きます」とお答えした。
    この答えにより、かなり旅の運命が変わる、一般的には悪い方に。

    午後6時半、日が暮れかかり、観光客がわさわさと町に出てきて、ちょっと温泉街の趣を見せる郡上八幡の通りを、拙者は逆に去る。国道に出て車に乗せてもらうためである。
    高速を飛ばしてやってきてくれたその人の名をここでは、すえすけさんとお呼びしよう。
    お会いするのは2回目であるので、いささか正体不明である。
    持っている情報としては、盆踊り好き、学生時代は京都にいた、2つくらい。
    車内でお喋りした結果、お仕事のことや、踊りよりも音頭や民謡に興味・造詣が深いことが判明した。
    山々に霞みがかった田舎道を軽自動車は走り抜け、白鳥の前谷白山神社に連れて行ってもらったのである。

    拝殿おどりというものを拙者はよく知らない。
    だが、Twitterに流れてきた動画を見た記憶がある。儀式感があって好きな感じだった。
    現場に行くと、おっちゃん方が集まっていて6・7人。すでに拝殿おどりの練習その1が実施された後で、女性陣は別の盆踊り会に出掛けたらしい。郡上おどり、白鳥おどりをはじめ、色んな場所で盆踊り会があるとのこと。

    少人数で踊られた拝殿おどりはどんな感じだったか?
    一言でいうと、大人のかごめかごめ。
    まず、拝殿というのはこんな感じ。

    京都の神社にも拝殿はあるけれど、神輿が置かれたり、献酒が置かれたり、太鼓の演奏があるようなイメージ。一般人が上って踊るイメージは全くない。
    拝殿おどりの本番は踊り子全員が拝殿に上って踊れる人数で行われるらしい。
    拙者も体験したが、踊りよりも唄が重要らしく、リーダーが歌い、フォロワーが返すパターン。七五調で、都々逸というのが似たものとして挙げられるだろうか。歌い手は歌える人が順番に回すらしく、その歌詞を手持ちカードのように繰り出すようだ。踊りはさほど難しくはなかったはず。
    下駄のリズムと生唄だけのかなり原始的な踊りだが、唄や踊りは流行に合わせて補充され、踊りの種類も歌詞も豊富らしい。
    すえすけさんは良い声で歌っておられたし、拙者も合いの手を多少頑張った。
    拙者はフレンチフォークダンス会にも参加するのだが、同じようにシンプルなステップと生唄だけの踊りがあり、原始的な踊りは世界共通だなと感心した。
    派手な楽しさはないものの、盆踊りの歴史が感じられ、脈々と受け継がれている流れに身を委ねる安心感があった。盆踊りの奥深さを感じたところである。

    とにかく、よそ者を受け入れてくださり、保存会の三島さまを筆頭に皆様に感謝を申し上げたい。
    ありがとうございました。

    拝殿踊りは夜の10時半頃に失礼し、白鳥おどりに向かった。
    白鳥おどりは噂に聞いていた。郡上おどりよりも速くて激しいと。石黒さんならそっちの方が好きじゃないかと言われていた。若者は白鳥おどりを好むとも聞いていた。
    ゆえに、いつか来ようと思っていた盆踊りであり、すえすけさんの計らいで体験できる事になった。感謝である。

    会場に到着すると、噂に聞いていたとおり若者たちが多い。どっから出てきたん?と思うほどに多い。
    さっそく踊りの輪の中に入ってみる。速い、ムズい。
    それなのに、なんでみんな悠々と踊れているのか? 郡上おどりには踊り初心者みたいな人も多いのに、白鳥ではそういう人をあまり見かけない。
    自分の踊れなさに唖然とする。
    ちょっといけそうな時もあるのだが、集中力を切らすと急に踊れなくなる。盆力が足りない。
    それでもなんとか輪の中には入っていたが、神代(じんだい)という曲はダメだった。輪から出ざる負えなかった。
    若者たちは余裕で踊ったり、駆け回るように踊ったり、ただの行進やないか!と思うレベルで踊ったりしていて、衝撃的だった。


    次回は、頭のフレッシュな序盤から参加して、踊りをマスターすべきだと思った。
    この地ですえすけさんは色んな人に声をかけられ、親しくし、この界隈の売れっ子なんだな、と思い知る事になった。

    ちなみに、なぜみんなあんなに踊れるのか? とすえすけさんに言ってみると、初心者は諦めて早々に輪から出るから、という答えだった。ガチ勢時間になっていたもんな。

    日付が変わってしばらくした後、本命だった郡上八幡へ向かうのであるが、想定外の出来事に見舞われるのである……。

    つづく

  • 無精者だが大原に有精卵を買いに行く。あと無音の滝

    無精者だが大原に有精卵を買いに行く。あと無音の滝

    京都の鴨川沿いを北上し、高野川を遡ると比叡山が接近してくる。その西側を進むと山の気配が漂い、ヒヤッと涼しくなる。そのまま山の中に入っていくかと思いきや、ちょっと開けて田舎っぽい風景が広がる。そこが大原である。
    三千院が有名なあの大原。

    大原に行こうと思ったのは、有精卵が売っているという情報があったからである。
    昨今の玉子不足で売ってないかもしれんけど、その際はランニングでもして、無音の滝なるものを見てみようか、とバイクを走らせた。

    2023年6月21日(水)、平日で夏至だ。
    平日の昼間からぶらぶらと出かけられるのは、現在休職中だから。1年ほど調理の仕事に勤しんでいたが、モチベーションが下がったので辞めた。美味しいものを求めなくなって、料理への探究心がなくなったのが大きいと思う。
    収入については不安を持ちつつ、その不安のせいで変な選択をしないようにと自分を戒める。

    有精卵が売っているというのは、大原里の駅。田舎に行くとよくありそうな直売所。
    平日の正午前だったが、7割くらい駐車場は埋まっていたし、併設のカフェは満席だったようだ。賑わっている。
    直売所の棚を見ると、かなり商品が減っていて一抹の不安を感じた。
    玉子は売り切れているかもしれない……。
    野菜、米、よもぎ餅、パンなどが売っている。それらをスルーし、玉子、玉子と店内を見回すと、見つけた!
    10個入りのプラパック、ちゃんと有精卵と書いてある。お値段は?
    700円!
    まだまだ玉子不足で高騰している。昨年秋の時点では500円ほどで買えたはずなんだよな。でも、あるだけ良かった。
    玉子の他、1000円の味噌、キュウリ、ビーツ、よもぎ餅を購入。
    最近は脱プラごみを意識しているのだが、全部プラやポリ袋に入っているので少しだけ嘆息。

    有精卵を手に入れたので、次は無音の滝を目指す。
    バイクをちょっとした公園に停め、ウェアに着替えてラン開始。
    地下足袋と腹掛けスタイルなので、田舎道によく似合う。大原には庄屋さんの家みたいな屋根が多く残っており荘厳だ。田舎と表現しているが、京都にはかなり近いし、裕福な家が多いと思われる。地名のブランドもあるしね。
    広大な農地はなく、すぐ山に行き当たり、上り坂になり、観光地によくある駐車場や喫茶店が増えると三千院に行き着く。
    三千院には入らずに、沢がある坂道を駆け上っていく。寺院が並んでいるので舗装されている。

    大原には来迎院と勝林院というお寺がある。この2つは声明道場として有名だと京都検定に出てきた。
    声明というのは、節を付けてお経を読むことであり、それって今では念仏として普通のことだが、その源流の道場がここにある、という認識。
    てことは、江州音頭とか〇〇節の源流なのであり、盆踊り愛好家としては感慨深い。
    無音の滝というのも、この声明の修行が行われた滝であることからその名前がついたそうだ。
    白い水流がせらせらと散って、なかなか風情のある滝だと感じた。

    その後は、赤しそ畑を通り抜け、寂光院にも足を伸ばし、ランニングを楽しんだ。
    周辺を一周りすると10kmほどになるので、走って回るには充実した場所だった。田舎道、山道、観光地のバランスが良い。次は山の中にもアタックしてみたい。

    ぶらぶらとランニングをして、平日の昼間に誰の役にも立たぬことをしており、大人としては恥ずかしい限りであるが、今回得た情報が誰かの役に立つ可能性もあるし、恋に疲れた女に大原の地をオススメできるかもしれんし、考えすぎないでおこう。

    仕事に疲れた男がひとり、涼やかな大原を後にして、住宅の建ち並ぶ伏見に帰り、有精卵を温め始めるのである。

    以上。

    ちなみに、山田農園さんでも別の有精卵が買えます。

  • 【旅ラン2.5】生駒山麓公園に行き着けない

    【旅ラン2.5】生駒山麓公園に行き着けない

    このごろ敗北つづきで、また失敗譚を書かねばならない。
    2つの目的をもって奈良県生駒市に行ったのだが、2つとも達成されなかった。
    徒労感。

    2つの目的

    1つは、有精卵を買うことだ。
    Google Mapで検索していると、奈良県生駒市に卵の自動販売機があって、そこに有精卵が売っているとの情報。
    しかも300円で買えるらしい。
    売ってるなら買いたい。

    もう1つは、旅先でランニングすること。
    NHKの旅ランサイトを調べると、奈良県で最もオススメなコースがこの生駒山。山麓公園をスタートしてピストンすると景色が良く風呂にも入れて良いらしい。
    走ってみたい。

    たとえ有精卵が手に入らなくても、旅ランできればOKだと、行く決意を固めた。

    有精卵

    京都伏見から国道1号線を走る。久御山、八幡、枚方などを通過。1号線を名乗る幹線道路なので走りやすい。
    枚方あたりから山手へと向かい、さほどアップダウンもなく生駒市にたどり着く。ニュータウンを感じる街並みが広がっていた。

    出発から1時間ほどで目的の場所たる卵の自販機にたどり着く。
    しかし、喜びではなく落胆が待っていた。

    自販機の中身が空っぽなのである。

    しょうがないので、向かいのファミマでホットコーヒーを買った。コーヒーは控えているけれど、Lサイズを買った。
    客として来ていたおじいさんに尋ねてみた。
    「あの自販機に卵が入ってること、あるんですか?」
    「わからないけど、たまに入れに来てるのではないか」
    とのこと。
    現在時刻、12時30分ごろの時点では卵はないのは明らか。
    だけど、曜日によって、あるいは時間によって入っている可能性があるのかは謎のままだ。
    中途半端な情報になってしまった。もうちょい聞き込みすれば良かったかな。

    がっかりしつつ、第2の目的へ向かおう。

    生駒山麓公園

    この卵自販機から20分ほどで、山麓公園に行けるらしい。
    Googleのナビを頼りに向かってみる。ハンナ道路というカワイイ名前だがガッシリした道を通る。

    でも、どこで間違ったんだろう?
    生駒山麓公園に行き着けない。
    そもそも拙者は左右盲という小さな障害を持っているので、ナビが右だの左だの言っても、え?え?となるのです。
    あと、ナビって間違った道を進んでも、新たな修正ルートを提示してくれる。でも「間違いましたよ」って言ってほしい。

    いや、ナビに集中できなかったのが問題かもしれん。
    バイクの後輪に金属片が刺さっているように見えて、空気が抜けていったらどうしよう、という不安を抱えていたのだった。

    高台の住宅地をぐるぐるして、また戻ったりしてると、ナビが別ルートを提示して、それが生駒スカイライン。これが行ってみるとバイクは通行禁止。「生駒山麓公園とは、そもそもバイクでは行けない場所か?」と途方に暮れた。
    はぁ、もうこのまま帰ろっか? 何もせぬまま帰ろっか?

    しかしこういう時は、一呼吸おこう。
    バイクを歩道に停めて、無心になった。

    残りのホットじゃなくなったコーヒーを飲みほす。
    とにかくなんとかして、生駒山麓公園には行こう。
    さっきの住宅地から徒歩でならアクセスできるはずだ。
    と決意した。

    高台の住宅地に戻り、森の近くにバイクを停めて、スマホアプリヤマレコを起動し、森へと分け入る。

    生駒山離宮。と言えそうな普通のため池

    登山道は気持ち的には慣れているが、足首を負傷中なので「負担がかかると嫌だなぁ」と心配になる。12月のハーフマラソン大会にエントリーしてるからなぁ。
    そして、バイクを停めた場所からはどんどん遠ざかり「風呂に入っても汗をかいてしまうな」と、できることが減っていく。
    でも、とにかく前に進む。
    何も良いことが待っていなくても、とにかく進むべき時が人生にはある。

    秋の登山道は落ち葉が散っていて、それを踏むとカサカサと音がする。カサ、カサ、カサ、カサ。
    熊や猪に遭遇したらどうしようかと、少しだけ考える。
    上着を脱ぐくらいの暑さを感じた頃、舗装道路に行き着いて、すぐに山麓公園の入り口だった。
    で、やはりバイクは拒まれていたようで、駐車場の入り口はバイク用の利用料金も通り道もなかった。

    車は520円です。バイクは書いてない。

    園内を進む。赤く染まる紅葉もあり良い散歩道っぽい。だが拙者は「同じ道を戻るのめんどくさいな」と思ってばかりだ。
    すると、あれ?

    古びれたホンダのトゥデイ

    単車の駐輪場があるぞ?
    これは! どこかに別の進入ルートがあるに違いない。

    で、結論から言うと、バイクでの進入ルートは見つけました。
    解明できて良かった。あースッキリ!

    山麓公園ふれあいセンターでは、ご飯も食べれて、缶ビールも売っていて、風呂もある。ランニングのゴール地点にするにはとても良さそうだった。

    知らない道を走るには、時間が遅くなっていたし、バイクを停めなおすのも面倒だったので旅ランは断念。
    バイクまで戻り、京都へ帰りました。

    まとめ

    2つの目的も達成されなかったし、バイクの後輪に不安も抱えてたし、帰り道も1本間違えたようで険しい道程だった。
    それでも、家にいるよりは経験が積めて良かった。
    失敗するってことは、チャレンジしてるってことだもんな。
    失敗に慣れるのが成功への秘訣です。

    バイクを保有していると、乗らなくても保険代が飛んでいってしまうので、たくさん使ったほうが良いよなぁ。タイヤなども経年劣化するし。
    知らない場所は沢山沢山あるからなぁ。そんな風に思う旅でした。

    今後道に迷わぬために、バイク用スマホホルダーは買おうと思います。

    我々の旅はつづく!

  • 【旅ラン2】奈良の月ヶ瀬。心で梅を咲かせる

    【旅ラン2】奈良の月ヶ瀬。心で梅を咲かせる

    拙者は出不精だけど、飽き性でもあって、こんちくしょうだ。
    ランニングを趣味としているけれど、同じ道を走るのは飽きてしまう。だから旅先でランニングしたいと思うのだが、旅に出るのは面倒だ。

    この面倒くささは、現代病だろうか?
    ネットを開けば娯楽が溢れているから、わざわざ得体の知れない場所に赴くのは合理的ではない。
    動けばガソリンが消費されるし、金も減る。やめとけやめとけ、家にいとけ。近所を走っとけ。
    「はいそうします!」
    と、いつもは思うのであるが、今日は違った。3連休のあと2日は雨予報。今日しか行けないという気持ちが心を駆り立てる。

    2022年10月8日(土)、曇のち晴れ。
    11時を過ぎてから家を出た。ぶらっと宇治茶でも買いに行こうというテンションで。
    知ってる道をバイクで駆ける。ほとんど前回の旅ランと同じルートだ。茶畑も、急な山道も、こないだ通ったばかり。慣れた感じで鼻歌を唄う。江州音頭の一節を。

    少しだけ迷いつつも、概ね正しいルートだった。間違っていたのは服装だ。急に寒くなったせいで、装備が間に合ってない。足が震えだした頃に目的地に着いた。およそ1時間半の行程。

    月ヶ瀬温泉。
    京都府の南山城村を越えてきたのは知ってるが、ここが奈良県か三重県なのかは気にしないでおく。

    直売所があるので、こそっと入る。
    お茶が売っていた。製造者の名前入り。京都府を越えたので、もう宇治茶じゃないようだ。
    拙者は愛国者であるし、エコロジストでもあるので緑茶を飲みます。コーヒーは控えることにした。
    だが悩む、産地らしくたくさんの緑茶が売っていた。どれを選べば良いのかまったく分からない。
    昔、福寿園の方に聞いたのですが、福寿園などの販売者は色んな生産者のお茶を集めて、味を見極めて、それをブレンドして福寿園の味にするそうです。
    だからきっと、どれを買ってもワイルドに近い味なのかな、と推察する。

    買いました

    今からランニングするので、よもぎ餅を食べる。

    柔らかくて、美味しいやつでした。とろりと溶けた。

    さて、ジーパンや上着を脱いで、いざランニング開始。
    観光案内板が豊富なので期待できる。
    まずは梅渓なるものを目指す。

    1.5km走ると、月ヶ瀬のメインコンテンツたる梅渓に行き当たる。
    なかなかすごくて、梅林と渓谷のコラボ。急斜面に梅林があるので、景色の奥行きがスゴイ。

    梅の木がそこかしこにあるし、その奥には山あいを流れる川。名張川というらしい。
    2月か3月あたりに来るべき場所ではあるが、人間には想像力があるからな、心のなかで梅の花を咲かせれば良いのです。ほら、白やピンクの可愛い花が咲いている。

    ここらで、地元のおばあさんと喋ったのですよ。
    「こっちの端っこのほうが、よく見えるで」と、声をかけられた。
    ばあさんのおっしゃる通り、遠くまで見通せた。
    あれは、鈴鹿山脈で、あの山の下にスズキがある、などと聞いたけど、聞き流しておいた。他にも、茅葺屋根は伊勢湾台風で飛ばされたとか、この展望台は200万したとか、NHKが猫の撮影で3日間も取材に来た、などと聞いた。
    最後には、
    「嫁はまだか」と、言われた。
    「ええ、まぁ」と、答えた。
    「今度は女の子を連れてきい」という言葉に、「そうですね」と拙者はヘラヘラ笑って、走り去った。
    絵になる場所の、絵に描いたようなばあさんだった。

    拙者は走る。咲いてない梅林を駆け抜ける。ランニングコースとしてはかなり面白い。古くからの名勝らしく、観光地の面影を感じる。
    梅の頃に来たら、走れないくらいの人出なのだろうか?
    今は人出がなく、一部の道はくっつき虫やクモに阻まれていた。

    坂を下り、一気に高度を下げて、川沿いに出る。
    橋が赤いのは、観光地の色気だろうか。

    これを対岸に渡り、車道を走る。歩道はないけどフラットな道。歩行者専用散策路がなく残念だったが、車通りが多くはないので良いとしよう。なぜかやたらと東屋が多い。梅の頃は花見で賑わうのだろうか。

    これなんか、すごく良さそうに見えるけど、さほど良い景色ではない。枝の剪定が必要だ。
    建物自体が前時代の遺産ってことにしておこう。

    デカさ自慢のカボチャ。持ち上げられない重さ。

    こちらにも直売所があり、ライダーやドライバーの休憩で賑わっていた。

    この旅で、唯一のランドマークだったのは「龍王の滝」だろう。
    龍王ですよ、ドラゴンキングですよ。ドラクエならばかなりラストに近い場所でしょう。
    絶対行かねばならぬ、龍王の滝に飛び込んでこそ真の勇者じゃ。
    と、喜び勇みました。

    老夫婦が杖をついての散策中だった。
    老夫婦でも行ける龍王の滝は、果たして龍王の滝なのだろうか?
    拙者は飛び込むのをやめた。

    そして、折り返す。これが6kmくらいの地点。
    戻りの道は、来た道の対岸。
    「もみじの小路」と題された散策路を通ったが、まだまだ青々としていた。そして東屋ばかりが多く、相変わらずランニングには最適だ、だけど誰ともすれ違わない。
    大会とか実施されたりしないのかな? などと空想する。

    梅干しなどを売るお店、老舗感がすごい

    自分にしか見いだせない地域の魅力ってないかな?
    やはり梅しかないのかな?
    などと考える。
    バスが通った。
    乗客はいなかった。
    JAのミニスーパーは閉業していた。

    メタバースとか仮想空間とか必要ないと思うんだよな。
    だって、現実世界で場所が余ってますよ。
    仮想空間でゲームするより、フィールドを使ってもっと遊べる方法を考えたいよな、と思う。

    元の温泉施設に戻ってきた。足での走行距離は11kmほど。
    周辺にはキャンプ場が整備されていて、多くのテントが張られていた。
    ファッション的なキャンプは好きじゃないけれど、フィールドで遊ぶ点は評価すべきところだな。
    ブームになってるキャンプで人を集めながら、周辺の観光や楽しみ方も伝える施策が必要かと思った。

    ちなみにここの温泉施設はとてもきれいで、泉質も良かったです。
    通常700円ですが、100引きのクーポンなどが出回っているようで、600円で入泉可能。京都市内の銭湯は490円になっているので、お得だ。オススメできる。
    少し冷たさを感じる外気の中、ぬるめの露天風呂で贅沢な時間を味わった。
    よく家を出てくれた、11時の自分、ありがとう。

    以上で旅は終了です。
    もと来た道をそのまま帰りましたとさ。

    季節が激変し、バイクで走るのは寒くなって、家から出る億劫さに拍車がかかるかな。
    出不精な我に、旅立つ勇気を与え給え。
    我らの旅はつづく!

  • 旅すれば、新しい企画を思いつける!

    旅すれば、新しい企画を思いつける!

    旅は人生に効くよね~。
    先日、日帰り旅行の旅ランをしたら、効果てきめん。
    「もう歳だ」とか「気力がなくなってきた」とか言ってたし、「ワシは」と称するくらいだったのに、やりたいことが湧いててきた。

    別に大して遠くには行ってない。40km先にある場所までバイクを走らせて、12kmランニングして、またバイクで帰ってきた程度。使った金額は3000円くらいかな。
    それでも、気持ちに何かが起こった。これは狙い通りだ。

    気力や好奇心って、なかなか数値化できないので、維持したり回復したりが難しい。金みたいにシンプルじゃない。
    だから、この効用を言語化するのは難しいけれど、どうやら何かが回復し、その結果、新しい企画を思いつけた。ピカーン。
    かなり効果があったということだ。

    濃密な時間を過ごしたという実感がある。
    家にいる1時間と、旅先の知らない道をランニングする1時間の密度はまるで違う。
    こんな道行っていいのか?という悩み、非効率なルートを通ったなという後悔、でもその先にあるちょっといい場所、心に残る風景。
    時間の感覚が変わるこういう現象を大事に生きたい。

    いや、別に旅ランを推したい訳じゃない。誰もやらなくてよいよ、こんなことは。
    旅が良いよってことが言いたい。

    知らない場所を彷徨うことによって、普段の生活であるとか、悩みであるとか、好きな子のLINEがそっけないことであるとか、思い通りにならぬ日々が自分ごとじゃないように思えて、たぶんそれが大事。
    ダメになりそうな時、旅が一番大事。

    コロナ前の数年は、知らない人と喋ることや、街の居酒屋を放浪することで旅の気分が味わえてて、不自由してなかったんですけど、(あとダンスもあったし)、コロナからは不自由になって、今は少し世界が変わった。

    大人は自分自身で、数値化できぬ気力や好奇心、メンタルなど回復させるために、自分を喜ばせながら生きていかねばならぬ。拙者のような独身フリーランスならなおさら誰も気遣ってはくれない。
    エーテルか、仙豆が欲しい。

    今は旅に求めようと思う。
    拙者の旅は3000円と安上がりだ。飲みに行ったほうが高く付く。

    そしてさらに「旅を語ろう茶話会」をやってみたい。
    人を集めて旅先の見どころやグルメなどを発表し合う会。
    これは、喋るほうも聞くほうも有意義だと思う。
    旅のスタイルに個性が出るのも面白そうだ。

    その他にも企画を思いついている。
    それってつまりは、「あっ、気力が回復してる!」ということだ。
    とにかく、旅はいいし、旅を語るのもきっといい。
    絶対いい。

    旅をする → 話す・聞く → また旅をしたくなる → 旅をする

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  • 【旅ラン1】三重の島ヶ原。ランと温泉と人生

    【旅ラン1】三重の島ヶ原。ランと温泉と人生

    どうもイライラが抑えきれなくて、「これって鬱病寸前なんじゃないか?」と危惧した。
    拙者はそこそこ手負いの獣で、心には大きな傷を負っている。
    傷口が開かぬように生きなければならん。
    だから急遽仕事を休むことにした。

    家でダラダラしたいとも思うのだが、行きたいところリストを作ったばっかりなので、せっかくだから出かけることにした。
    目指すは、島ヶ原温泉やぶっちゃの湯。三重県にあるのだけど、京都府を越えたすぐのところ。

    旅って人生に似ている。人生を例えるなら旅が一番分かりやすい。
    あなたはどんな旅がしたい?
    贅沢したい、遠くに行きたい、出会いたい、自力で行きたい、他者にお任せでいい。
    やりたい旅によって準備物が変わる。何泊もしたり、色々やろうとすると準備が増える。

    拙者は最小限にしよう、やりたいことはランニングして風呂に入ることだけだ、と準備して、ランニングの装備と風呂のセット(Tシャツ、パンツ、靴下、手ぬぐい、タオル)をリュックにつめる。現金は1500円くらいにして、クレジットカードとスマホだけを持ち出した。
    バイクに乗るからグローブとヘルメット、あと念のため風よけ服もいる。
    そして文庫本。時間が空いたら読むかと思って。
    できる限り軽量化するのが拙者のスタイルです。
    だが、大事なものを忘れていたし、現金に関しては後悔。

    拙者は「バイクを維持できてるだけで充分だよな」と思う時がたまにある。本気出せば行きたいところに行ける、という選択肢があるのは、無乗車の季節があるのに維持費を支払う理由となっている。
    (車はすごく嫌い。匂いとか渋滞とか閉じられた空間とか)
    午前10時を過ぎた頃、「ジグさん」と呼ぶ相棒を走らせ、京都伏見から、宇治、和束、笠置、南山城へと移動する。
    ちなみに運転はテクニカルじゃないけれど、事故ったことはないので上手いとも言える。
    秋めいていて涼しいくらい。茶畑の緑と青空が映えた。

    12時、南山城の道の駅で昼食。
    マスクを忘れていて購入。350円ほどの現金を消失。
    昼食はカードで払えた。

    やたらと音頭が流れていて、盆踊らースピリットが燃える。
    南山城村には田山花踊りなるものがあるらしい。興味!

    13時、目的地である島ヶ原温泉やぶっちゃの湯に到着。
    ここにバイクを停めて、ランニング開始。

    やぶっちゃ敷地内の動物園みたいな水遊び場

    ぜんぜん知らない場所なので、どこを目指して走れば良いのか分からず、かなり迷走。地図上の神社とか、道しるべに書いてある場所をとりあえず目指してみる。

    異世界に通じてそうなトンネル
    高坂神社

    さほど見どころのないランドマークもある。

    お醤油屋さん、焼きたての煎餅みたいないい香りが漂う。
    正月堂

    こちらの正月堂はなかなか見ごたえがありました。
    33年に1度しか開かれない秘仏があるとか。
    裏の疑似西国33ヶ所巡りトレイルも楽しかったです。

    昭和のなごり
    石に仏像が彫ってある名所

    「要するに今、スポーツツーリズムをしているんだな」と汗をかきながら思っていた。

    岩屋山

    西遊記の孫悟空を彷彿をさせる。

    うの宮神社

    こんなに田舎でも立派な神社が建つほどの富があったんだよなぁと思う。
    現代はどこかに富が集中しすぎだよなぁ。過剰だよ、偏在だよ、まったく!

    走ったあとのビールはすぐ分解されるから1缶ならセーフ

    富はないけど、豊かさはここにある。

    と、まぁ、無計画な割には、旅ランを楽しめた。12kmほど。
    人の営みや歴史が感じられるのは大自然onlyより好き。

    ちょっと、新しい企画を思いついて、「旅」をテーマにした飲み会を開いたらどうだろうか?
    旅の話しかしてはいけない飲み会。参加者は写真などを用意して、ゆるくプレゼンするようなスタイル。
    しょうもない思い出話を聞くのはしんどいけれど、旅の話は面白くて有意義かもしれん。

    走った後に入ったやぶっちゃ温泉はぬるい上に、ヌルヌルしてて、平日なので空いてて良い湯でした。
    特に、露天風呂の寝湯は最高で、空とそれを渡る鳥を見ながら温泉につかれて、なんかもう、いわゆる、「極楽極楽」
    脱衣所の鏡はダンスホールみたいだったし、なんだか背筋を伸ばさねばって思った。
    危うく入泉料の700円もギリギリで、風呂上がりに瓶のコーラを買う金もなくなってしまったので、現金は潤沢に持っていくべきだった。

    ポカポカになって、拙者は伏見に帰るのですけど、「なぜキャンプしないのか?」とは思う。
    その答えは「準備がめんどくさいから」なのですが、いちいち帰る方がめんどくさいという考え方もある。

    旅って、選択肢があって難しい。
    どこへ行くか?
    何を求めるか?
    人生みたい。

    例えば自転車で行っても日帰りできる距離だなって思う、修行にはぴったり。
    しかし、温泉に入った後に、また汗だくになるのはやりたくないな。
    キャンプした方が、より楽しめる気がするけど、準備がめんどくさくなるな。

    拙者には「戦闘力を上げる」という考え方が根底にあるようだ。
    これは世代によると思うが、ドラゴンボールやドラクエの影響をもろに受けている。
    中二病を患ったまま生きていて、最強を目指しているんだろうな。
    いつまでも天下一武道会。
    旅行には癒やしより修行を求めてしまうんだよな……、
    旅先でランニングするのは、こういう志向があるからだろうな。

    以上。
    第1回の旅ランはこんな感じ。
    天候に恵まれたし、観光っぽいこともできたし、泉質は良かった。
    「キャンプをすべきじゃないのか? しこたま酒を飲めるし」
    という反省を残し、次回へ続く。

    戦闘力を上げて、自由を得ていく、行動範囲を広げていくのが、我々世代の人生かもなー。
    我らの旅はつづく!