カテゴリー: 読んだ本の感想・書評

  • ファンタジー小説だな「羊をめぐる冒険」

    ファンタジー小説だな「羊をめぐる冒険」

    こんにちは。本日は読んだ本の話を書きます。
    村上春樹さんの「羊をめぐる冒険」を読了しました。
    感情表現が少なくて、非現実的だった。

    ラム肉が食べたい。
    この間やったバーベキューで食べた。
    もう一度食べたい。

    そうそう、
    私が昔、自転車旅行で北海道に行った時、バーベキューパーティーに招かれたことがある。
    炭火でジンギスカン肉が焼かれていた。
    「北海道では羊の肉でバーベキューをするんだぁ」
    と、親切にしてもらった。

    あの頃は、少年が大きくなっただけの青年だった。
    受けた恩義を、私はお返しできていたのだろうか?

    旅が終われば焼き鳥屋なんかをやって、普通のオヤジになろうと思っていたけれど、あれから訳の分からぬ獣道に迷い込んで、ここまで来てしまった。
    少年が歳をとっっただけの中年になった。
    自分が立派になった姿をお見せしたかったのになぁ。

    さて、そんな私ですが「羊をめぐる冒険」を読みました。
    村上春樹さんはとても有名ですが著作を読むのは初めてです。
    「人を煙に巻くような文章やなぁ」
    と、舌打ちしながら読んだ。

    序盤はストーリーが進まなくて、ちんたらちんたらしてるから、上巻の中ほどで読むのを中断しました。
    他の本を3冊読むくらい中断した。
    ラム肉を食べなかったら、そのままほったらかしていたかもしれない。

    ラム肉に導かれるように再開したところ、黒い服の男(秘書かな)が出てきたあたりから、冒険譚になっていき、面白くなった。
    身近な世界を舞台にしていると思いきや、ファンタジー小説のようだ。
    ストーリー展開も不思議さがあるけれど、主人公の感情が伝わってこない点が非現実的で、ファンタジックなんですよね。
    だから指輪物語っぽい。ホビットしか読んだことないんですけど。

    村上春樹さんにファンが多い理由は、独特の文章のせいで色々と分析したくなって、自分なりの解釈をしたくなるような点が魅力になっているのかも。

    私も、
    地の文ではストーリーが進まないのに、会話文で進むなぁ。
    というような分析を語りたくなる。
    もっと読み込むと、もっと語りたくなるんだろうなぁ。

    めんどくさいので、読み込まないことにします。

    この本で得たものと言えば、感情をダイレクトに書かずに、行動だけを書くとかなり詩的な文章になることを発見しました。
    「だから、とても嬉しい」

    と、こんな風には書かずに、
    「そうして私はニンマリと笑った」
    みたいに書くと、文章のレベルが上がる。
    いや、文章にレベルなんてない。所詮は好みだ。

    とまぁ、煙に巻くスキルが上がったかもしれません。

    とにかくラム肉が食べたい。
    ラムレーズンのアイスも好きだ。
    うる星やつらでは、ラムちゃんより、しのぶちゃんの方が好みだった。
    また、バーベキューしよう。

  • いつもの伊吹さんだ!「ミッドナイト・バス」

    いつもの伊吹さんだ!「ミッドナイト・バス」

    こんにちは、今日は読んだ本の話。
    伊吹有喜さんの「ミッドナイト・バス」を読了しました。

    夜行バスに乗る機会はありますか?

    私は昔、東京ディズニーシーのキャストでしたので、実家の京都と往復する時、乗りました。
    2席が連なってる安いやつ。
    便利なことに東京ディズニーランドの入り口まで連れてってもらえたから、バスを降りた後は徒歩でアパートまで帰れた。

    当時付き合ってた彼女が見送りに来てくれたことを思い出す。
    しかし最終的にはヒドいことしたなぁ……。

    この、ミッドナイト・バスという小説は大型バスの運転手である利一というオッサンがメインの主人公です。たまに東京↔新潟間の夜行バスを運転する。
    昔、妻に逃げられたという傷を負っています。
    このあたり、とても伊吹作品らしい。

    また、脇を固める、利一の息子・娘なんかもやはり傷を負っていて、逃げた妻も登場するのですが、やはり問題を抱えている。
    こうしてヒューマンドラマが展開されていくのです。

    私は伊吹作品がとても好きです。誰かが死んだり、めっちゃ悪いやつが出てこないのに、それでもお話が進んでいく点が。

    本作は珍しい構成で、連作短編みたいでもある。
    利一の視点で物語が進むだけではなく、他の登場人物の視点で話が進む。8人くらいかな?
    それぞれの理由で夜行バスに乗る人々です。
    別の人の視点で、別の登場人物が語られて、絡み合って面白い。
    利一の娘が作った商品を、別の登場人物が持ってたりする。交錯している。

    で、この構成を可能にするのが、伊吹さんの文体です。
    比喩表現とかレトリックの類がほとんどなくて、ストーリー展開が早い。
    テレビの副音声で、目の不自由な人向けの音声がありますよね。
    ナレーターが「聡は大通りを歩いてゆく」みたいに語るやつ。
    あれを文字で読んでいるような気になる文体です。
    文学的ではないのですが、逆にそれが個性的。

    また、会話などではコミカルな雰囲気もあり、シリアス過ぎないのも良いです。
    利一の娘はアイドル活動的なことをしているのです。パフォーマーが出てくる点も伊吹作品っぽいところ。

    とにかく上記の点が、私は好きなのです。
    「いつもの伊吹さんだ」
    と、嬉しくなります。

    今、調べたところ、この作品は直木賞にノミネートされているし、映画化もされています。
    注目に値する作品ということですね。

    主人公の利一は40代後半ですが、私は40代前半。
    小さい頃から抱いていたコンプレックスを克服したかと思ったら、大人になってから受けた傷をまだ克服できてなかったりする。
    さらには老いもやってくる。
    そんな年齢ですね。

    まぁ、悩みは尽きないし、その分だけドラマがあるってことですな。

    夜行バスに乗ることはなくなりましたけど、この作品で思い出した。
    夜に浮かぶオレンジ色の光、
    サービスエリアで降りるとひんやりした空気がながれてくること、
    隣のオッサンのいびきがうるさかったこと、
    首に引っ掛けるタイプの枕が便利なこと、
    ずっと続く振動、乾燥した空気、コソコソと喋る人たち。

    圧迫された空間で、嫌いだったなー。

    オススメできる小説です。
    普通の人の普通の悩ましい小説。
    読みやすく展開も早いのでノーストレスですよ。

  • 100年前の小説がこんなに面白いなんて「痴人の愛」

    100年前の小説がこんなに面白いなんて「痴人の愛」

    今日は読んだ本の話。
    谷崎潤一郎さんの「痴人の愛」を読了しました。

    さて、ブログの著者たる私ですが、自らを狂人と名乗っておりまして、何に狂いたいかというと踊り狂いたいわけです。
    踊りはすべてを超越します。

    とはいえ、他の願望も無くはない。
    例えば、自分の店を構えて生計を立てたいとか、小説を書いてそれが出版されたらいいなぁとか、ランニングする元気さを60歳まではキープしたいなぁとか。

    あとは、右も左も分からないような女の子を囲って、何でも言うことを聞いてくれる自分好みの女性に育てたい。

    なんてことは、思わなくなりました。
    痴人の愛を読んでからは。

    痴人の愛は大正時代を舞台に書かれた小説で、およそ100年前に発行されています。
    しかし、意外なほどに読みやすく、また気持ちが通ずるところがある。
    とても面白いので、名著だと断言できます。

    主人公は28歳でエリートサラリーマン。当時の電気関係の仕事に勤めているので、今でいう大手IT企業でしょうか。
    そんな彼が、カフェエで15歳の少女ナオミと出会います。
    当時のカフェエはキャバクラ的な場所を指していると注釈には書いてありました。
    そのナオミを見初め、当初は女中としてその身を引き受けることになり、同居生活が始まります。
    序盤は可愛らしく素直なナオミ。なんでも言うことを聞いてくれるヒロインの登場は少年マンガに出てきそうな展開です。
    読者の私も「ナオミいいなぁ、カワイイなぁ」などと思います。

    しかし、徐々にワガママなってくるナオミ。
    言うことを聞かないナオミ。
    対立してくることも増える二人。

    さらに、どんどんナオミが助長していき、最終的には・・・!

    面白いです。
    主人公の嫉妬心なんかにとても共感するところです。
    主人公の心理描写が緻密で、ナオミのことを蔑みつつも、やっぱり好きだと思う心の葛藤。
    あれやこれやの葛藤。
    葛藤。
    面白いです。

    場面の選び方も今でも通用する展開だし、社交ダンス会などに赴く展開も良いです。
    当時の社交ダンスは最先端な遊びだったのでしょうかね。
    少し前のナイトプール的な感じ? 
    リムジンパーティー的な感じ?
    ナオミは西洋に染まってパリピになっていくわけです。

    谷崎潤一郎がとても緻密にナオミへの好意を描くものですから、読者の私は過去に好きだった女性を思い出し、手痛い目にあったことを思い出し、
    「ああ、主人公と同じだなぁ」
    と、嘆かわしい。

    主人公と同じくらいに、女性にハマってハマって、最後は痛い目にあう。
    そんな人生を歩んでまいりました。
    茨の道でした。

    「そんな苦しみを味わうなら、別の女性にいけばいいのに」
    なんて、主人公に対して思いつつも、一方では、
    「別の女性に興味がなくなるくらいの好きな人がいい」
    とも思います。

    この沼からは抜け出せぬようです。

    痴人とは、アホな人ってことですよね。
    それでもいい。
    それでいい。
    君のことが好きだ。

    と、いう状況に、なる覚悟でいつもいます。
    どうぞよろしくお願いします。

    (↓電子版は無料)

  • 失恋から1年「落下する夕方」

    失恋から1年「落下する夕方」

    今日は読んだ本の話。
    江國香織さんの「落下する夕方」を読了しました。

    去年の今頃、というのは2021年の秋頃、失恋ダメージを受けていて大変だった。
    心に穴が空いて、そこに吸い込まれて、闇から出られなくなるような、ぎゅぅぅ、という痛みを抱えながら生きていた。
    夜の闇が怖くて寝れなかった。
    お酒はたくさん呑んだ。
    コロナで楽しいこともできず、苦しかった。

    それでも振り返ってみれば、私にとって失恋は成長の機会になるようだ。空いた穴を塞ぐために、がむしゃらに動くからなぁ。
    小説を書き始めたのも、古民家を借りてガサゴソやりだしたのも、失恋がそうさせたのかもしれない。

    さて、「落下する夕方」も冒頭から失恋に追い込まれます。
    30歳手前の女性が主人公。8年くらい付き合って、結婚同然に同棲していた相手から、「引っ越す」と別れを切り出される。
    理由は?
    好き人が出来たんだとか、、、

    ガーン!

    だけれども、3日に1回は電話で話す関係が続く。
    さらに、その元カレが好意を寄せる女、華子が主人公の家に転がり込んで来る。
    変な展開!

    ミステリアスな華子との同棲生活が始まるのだが、とにかく元カレは近くにいるし、楽しかったあの頃を思い出しつつ、現実に向き合わないといけない。
    失恋をし続けるような環境。
    辛い!

    ストーリー的にはミステリアスな華子が奇妙な行動をとって、話が展開していく小説です。

    正直な感想としては、元カレが近くにいる点や華子と仲良くできる点が私には共感できず、
    「なんでやねん」
    と、思うことが多々ありました。

    私はそこまで心が強くないので、主人公よりももっと落ち込んで、もっと心がグサグサやられちゃうんですよ。だから、主人公の環境には耐えられません。

    とはいえ、別れた恋人を思い出してしまう心境は、私の記憶にも刺激を与え「ああ、楽しい日々があったなぁ」と、思わせる力があるのでした。

    江國香織さんの文章は、東京のオシャレ感やトレンディな感じが漂ってきて、京都人の私としては「ちっ」となる時がたまにある。
    東京への対抗意識です。
    でも、その空気をまとう文章こそ上手さであり、個性なんだろうなぁ。

    ちなみに、江國香織さんの「デューク」を読むと、何度でもうるうるしてしまいます。

    私は失恋から1年経ちました。
    付き合っていた頃の楽しく甘かった思い出を浮かべても、心がぎゅぅぅとすることはなくなった。
    夜の公園を散歩したこととか、お気に入りのパン屋さんがあったこととか、彼女の部屋を合鍵で開けたこと、洗剤のいい香りがふわっと漂ったこと、小さなキッチンで晩ごはんを作ったこと、彼女が帰ってきた時の笑顔や仕草。
    それらを思い出しても、ぎゅぅぅとならない。

    恋愛期間も終わって、失恋期間も終わったと知る。
    そんな今の日々は、少々つまらない……。

    失恋した女性が読んでみると共感ポイントは多いかもしれません。
    文章がトレンディでおすすめです。

  • なぜ有名になったのだ?「桐島、部活やめるってよ」

    なぜ有名になったのだ?「桐島、部活やめるってよ」

    今日は読んだ本の話。
    朝井リョウさんの「桐島、部活やめるってよ」を読了しました。

    このタイトルがめっちゃ有名になりましたよね。
    「桐島、部活やめるってよ」
    私もブログのタイトルをつける時に「〇〇、〇〇やめるってよ」というのを付けてしまったことが2回あったし、こういう調子でツイートしたこともあっただろう。

    そんな有名作だから、映画版をネットで見たことがある。
    高橋愛さんの女子高生姿は「この人は自分の初恋の相手なのではないか?」と思わせる何かがあるし、松岡茉優さんが走るシーンが印象に残っている。
    しかし、根底にあるテーマとかはよく分からんくて、面白かったとはいい難い。

    そして時間が経ち、最近になって原作版が連作短編だと知って「え? 嘘!」って思ったので興味がわきました。
    映画版からは想像がつかない。どんな構成なのか気になる。

    手にとってみました。

    このお話は秋から冬が来る頃の話なので、これからの季節にちょうど良い。
    日差しは柔らかいけれども、なんとなく不安が漂うシーズンにピッタリ。

    高校生の青春を描いた作品で、5人の主人公が登場し、5編の小説となっている(文庫版だと6人かな?)。
    バレー部だったり、ブラスバンド部だったり、映画部、ソフトボール部、一応野球部、それぞれの悩みと頑張りどころがある。恋もある。

    一人称で語られ、葛藤、他者への憧れや侮蔑でストーリーが展開され、大きな事件は起こりません。
    高校生モノに多そうな、いじめや売春や強姦などは文中に描かれていません。

    事件は起こらないけれど、面白く読めました。
    「君の人生に何があって、どう思ったん?」
    という視点です。
    主人公の心の声を文章にする。これぞ小説らしさかなぁと思う。
    漫画や映画にないものだ。
    映画版とはずいぶん印象が違いました。

    あと、桐島が主人公として登場せず、その後どうなったか分からないところにも面白さがあります。

    また、竜汰という友達が序盤に「彼女とセックスしたい」などと言うのですが、原作版ではその彼女が明記されていない。
    これはじっくりと本文を読めばヒントが隠されていたのかもしれない。

    分かりやすい文章で、回想シーンが文中に自然に放り込まれるの上手いです。

    私には苦手だったのは、登場人物の相関関係を把握するのが難しかったです。
    誰と誰が付き合っていて、誰と誰が面識ないのか分からない。梨沙と沙奈はあまりキャラ立ちしていないので、どっちがどっちか分からなくなる。
    しかし、こういう人間の複雑さが面白みになっているのかもしれない。自然なミステリーと捉えることもできる。

    全体として分かりやすいスッキリしたエンディングを迎えていないので、もやもや感は残っていて、隠された話やアナザーストーリーを掘り起こしたくなる。

    なぜこのタイトルが有名になったのかはよく分からん。
    「桐島、部活やめるってよ」
    こういうフレーズを聞くと、何らかの理由やストーリーを探してしまうのだろうか?
    人間ってのは不思議ですね。

  • よ、読み返したくなる、「ぼくのミステリな日常」

    よ、読み返したくなる、「ぼくのミステリな日常」

    今日は読んだ本の話。
    若竹七海さんの「ぼくのミステリな日常」を読了しました。
    工夫がたくさんあって、面白いです。

    面白い連作短編小説を探していたところ、こちらが紹介されていましたので手に取りました。
    タイトルからの印象で、平和な中にちょっとしたミステリーが転がっているような話だと思いました。
    私は人が死ぬ話は好まないし、ズルいなぁとも思う。誰かが死ぬなんて気になるに決まってるやないか! と。

    で、この短編集12編+αの中に、人が死んだりホラーな話も出てきて、
    「印象と違う!」
    と、嫌な気持ちを抱えた話もあった。
    騙された~。

    でも、構成が非常に面白い。
    まず、手紙のやり取りから始まります。
    会社の社内報の担当になったから短編小説を書いて欲しい、というところから物語が始まる。
    そして、月ごとの連載小説として本編が始まるのです。
    小説の中の小説なのです。

    さらにその本編の中では、「ぼく」が一人称として登場し、誰かと出会い、その人から聞いた話が三人称で語られ、最後に「ぼく」が事件の真相を暴くという構成。
    有能な「ぼく」に惚れ惚れする話もあるし、ただ印象を操作されただけのような話もあるし、色々です。

    主人公がピンチに陥ったり、恋をしたりというハラハラドキドキはあまりやってこない。あくまでも聞いた話を解決するというスッキリ感が心地よい作品です。

    でも実は、この連作には秘密が隠されていて、最後にその真相が明らかになる。
    ゾクゾクきました。

    しかも、さらなる真相が文中に隠されているんじゃないかとの期待があり、もう一度読み返したくなる。
    良い読書体験です。

    1991年に発行されていますので2021年からすると、30年前の作品。40歳の人は10歳の頃か。
    平成が始まったころかな?

    主人公を固定して、人から聞いた話をエピソードにして、解決や考察をする。
    なるほど、これが連作短編の作り方の1つですね。
    勉強になりました。

    私もオモシロギミックを搭載したミステリー小説を書けるようになりたいなぁと思いますけれど、どうしたら良いのでしょうね?
    一度宇宙人に攫われてみましょうか……。

    UFO、呼ぼう。
    あるいは、食べよう。

  • 6歳で移民になったナディの話

    6歳で移民になったナディの話

    今日は読んだ本の話。
    ナディさんによる「ふるさとって呼んでもいいですか」を読了しました。
    移民問題にちょっとだけ詳しくなれた。

    私の住む街にはパラグアイ人の女性が住んでいる。おばさんです。
    我が母と同世代だろうか? 我々と同世代の子どもたちがいることを知っている。
    これ以上書くとプライバシーに関わるのでやめておこう。

    私は以前からそのおばさんに気に入られてるようで、街角で出会うと声をかけられる。分かったような分からないようなことを喋られて、いつもニコニコ、ヘニャヘニャ対応している。

    その人からなぜか「読みなさい」と頂いた本がこの本です。
    著者とお友達なんだろうか?
    分からない。

    興味のないまま時間が過ぎたが、ようやく手にとってみることにした。

    著者のナディは私と同年代です。4歳年下。
    その彼女が当時6歳だった頃に、イランから家族と日本にやってくる。父、母、本人、弟2人。
    在留資格なしで労働のために来日を決意するのです。
    当時の日本は安い労働力欲しさに規制がゆるかったらしい。
    警察に怯えたり、健康保険に加入できず医者に行けなかったり、学校へいけるかどうか、強制送還されないかどうか、などの日々を綴った自伝です。

    大変そうでしたけど、真面目さや熱意で色々と乗り越えたようです。

    淡々と書いてあるし、比較的幸運な境遇だったようで、悲しさや辛さなどの臨場感があまりない。
    最近は小説ばかり読んでいますので、「もうちょっと感情を盛り上げるべきじゃないか」と、思ったりします。書いてある内容はドラマティックな人生ですが、著者は作家ではないので、心の揺さぶりが少ない。このあたり小説家には小説家の役目があるなぁと思います。
    偉そうなことを言えるほどのテクニックを私は持っていませんけれど、悔しさや嬉しさがもっと伝わるように書きたいですね。

    移民の彼女には不自由なことがたくさんあって、様々に行動して教育の機会などを勝ち取っていった。それでも自分のアイデンティティはどこにあるのかと悩んだりする。
    一方の私は日本人で教育の機会などは整備されていたが、苦労知らずの人生を歩んだわけではない。同じようにアイデンティティの危機は訪れた。発達障害と見なされてコミュニケーションを拒否されたりするわけです。
    ですので、
    「それは移民だからという悩みではないよな」
    と思うし、作中でもそういう結論に達したりする。

    現在はパラリンピックが開催中です。
    他人の目に見える障害は分かりやすいし、同情も買いやすい。だが、世の中には目に見えない障害もあるからなぁ。
    誰が弱者なのか?
    弱者に手を差し伸べようとした時に、目立つ弱者から優先的に救ってしまって、見えづらい弱者をほったらかしにしていないか?

    私には分からない。
    とにかく弱者をあざ笑ったりしないように、自分にとっての楽しいことをやりつくそうと思います。
    世界中の人々を幸せになんてできない。
    身近な人達を楽しませるくらいなら、ちょっとはできるかも。
    私自身もカネのないオッサン、つまり、かなりの弱者ですので、縮こまりながら、できることをやってみる。

    移民の話と言えば、
    最近のニュースで、名古屋入管に収容されていたスリランカ国籍の女性が死亡した問題があります。
    原因の究明が必要です。
    黒塗りの資料公開は遺憾です。
    納得できる説明をお願いしたい。

    技能実習制度の問題などもありますね。
    コロナで外国人就労や留学など、どんな影響が出ているのか知りませんけれど、社会のあり方に興味を持ち続けてはいきたいです。

    以上です。