今日は読んだ本の話。
若竹七海さんの「ぼくのミステリな日常」を読了しました。
工夫がたくさんあって、面白いです。

面白い連作短編小説を探していたところ、こちらが紹介されていましたので手に取りました。
タイトルからの印象で、平和な中にちょっとしたミステリーが転がっているような話だと思いました。
私は人が死ぬ話は好まないし、ズルいなぁとも思う。誰かが死ぬなんて気になるに決まってるやないか! と。

で、この短編集12編+αの中に、人が死んだりホラーな話も出てきて、
「印象と違う!」
と、嫌な気持ちを抱えた話もあった。
騙された~。

でも、構成が非常に面白い。
まず、手紙のやり取りから始まります。
会社の社内報の担当になったから短編小説を書いて欲しい、というところから物語が始まる。
そして、月ごとの連載小説として本編が始まるのです。
小説の中の小説なのです。

さらにその本編の中では、「ぼく」が一人称として登場し、誰かと出会い、その人から聞いた話が三人称で語られ、最後に「ぼく」が事件の真相を暴くという構成。
有能な「ぼく」に惚れ惚れする話もあるし、ただ印象を操作されただけのような話もあるし、色々です。

主人公がピンチに陥ったり、恋をしたりというハラハラドキドキはあまりやってこない。あくまでも聞いた話を解決するというスッキリ感が心地よい作品です。

でも実は、この連作には秘密が隠されていて、最後にその真相が明らかになる。
ゾクゾクきました。

しかも、さらなる真相が文中に隠されているんじゃないかとの期待があり、もう一度読み返したくなる。
良い読書体験です。

1991年に発行されていますので2021年からすると、30年前の作品。40歳の人は10歳の頃か。
平成が始まったころかな?

主人公を固定して、人から聞いた話をエピソードにして、解決や考察をする。
なるほど、これが連作短編の作り方の1つですね。
勉強になりました。

私もオモシロギミックを搭載したミステリー小説を書けるようになりたいなぁと思いますけれど、どうしたら良いのでしょうね?
一度宇宙人に攫われてみましょうか……。

UFO、呼ぼう。
あるいは、食べよう。

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投稿者: 石黒わらじろう

京都の古い民家で暮らしている。 趣味はランニングとブログと盆踊りを含むフォークダンス。 別名義で書いた小説は映画の原作として採用された。 自分で建てた小屋にて暮らしていたことがある強靭な狂人。 地球にも自分にも健康な生活がしたい。

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