投稿者: 石黒わらじろう

  • 【募集】炎の盆踊り会(2022.01.30)

    【募集】炎の盆踊り会(2022.01.30)

    2021年、京都の盆踊り会はコロナで中止になり壊滅した。
    それではダメだと思い、我々のグループでサイレント盆踊りを実施した。
    送り火の日、発祥の日、文化の日と3回行い、それぞれ刺激的で思い出に残った。

    平安神宮前で踊った日

    私の感覚では1ヶ月半に1回のペースで盆踊りをやりたくなるようで、夏場だけではなく冬もできないだろうか? と考えました。
    冬かぁ、寒いしなぁ。
    しかし、焚き火を囲んで踊ったら、めっちゃいいんじゃないだろうか。
    原始的な娯楽。野生の本能が呼び覚まされて、心が満たされるのではなかろうか。
    ああ、やってみたい。焚き火を囲んで盆踊りをしてみたい。
    ああ、ああ、ああ、やりたい。

    実施概要

    日時 2022年1月30日(日)10:30集合、11:00~12:00実施

    会場 竹田駅の近くで検討中。正確な場所はお申込み後に連絡します

    会費 1000円(2回目の人は500円)

    内容 焚き火を囲みながら、イヤホンから聞こえる音頭で盆踊りを踊る

    踊り 江州音頭、河内音頭の手踊りとマメカチ、炭坑節、郡上おどりのかわさきと春駒、ドンパン節、ダンシング・ヒーロー(予定)

    難易度 正しさより楽しさ。見様見真似でついてきて下さい。

    服装 汚れてもいい服。化繊の服は火の粉でとけるので非推奨。動画を撮りたいので顔出しNGの人はサングラスなどを持参で。

    持ち物 耳から落ちにくい有線のイヤホン

    雨天 荒天中止

    注意 各自2mのディスタンスをとって踊ります

    予約 お問い合せ ←クリックしてメールフォームからご連絡を

    ご質問も上記からご連絡ください。

    焼き芋なんかもやってみたい。

    とにかく、誰かがやってみないことには、先に進まないのでやってみます。
    新しい文化が生まれると嬉しいです。
    一緒に生み出しましょう。

  • 京都検定2級を受験!感想や勉強法まとめ

    京都検定2級を受験!感想や勉強法まとめ

    こんにちは、2021年12月12日(日)、京都検定2級を受験しました。

    なぜ受けたか? どう勉強したか? 何か変わったか? などをまとめときたいと思います。

    京都検定2級とは?

    京都検定はご当地検定として有名ですよね。
    正式名称は「京都・観光文化検定試験」です。
    現在は1級、準1級、2級、3級があります。
    2級と3級は誰でも受験できて、1級は2級の合格者のみ受験可能です。

    試験終了後に撮りました

    難易度ですけれど、1級は超難関です。
    合格率にはかなりのバラつきがあるのですが、高い年で16.6%(第5回)、低い年は1.8%(第12回)と驚愕の難しさです。
    記述式で小論文もある。

    2級の合格率もかなりバラつきがあって、高い年で63.1%(第7回)、低い年は12.0%(第2回)と、怖さのある難易度。
    4者択一。

    3級も同じくバラついて、76%~30%までとバリエーションに富んでいる。

    なぜこんなことが起こるのかと推察すると、毎回必ず出るジャンルとイレギュラーなテーマ問題があって、変なテーマ問題はかなり隅の方を突かれるので、めちゃめちゃ難しくなります。

    要するにこれは、この資格を必ず必要とする仕事はないので、合格者が出ようが出まいが社会には関係がない。例えば医師とか電気工事士とかは社会に必要なので、一定の合格者が必要ですけど、京都検定は合格者を出さなくても良いのです。京都ガイドだとしても無資格で仕事はできるのです。

    ですから、娯楽性が高い資格であり、合格率を一定にするより、毎年変わった出題をする方が実施団体にとってはメリットがあるようです。実際にリピーター対策が念入りで、リピーターが多いようだ。

    受験の動機は?

    私が受験した動機は3つ。

    1.試験慣れしようと心に決めた

    2.京都をランニングするに際して、知ってたほうが楽しくなる

    3.京都に関心が高くなるような年齢になった

    以上。

    立命館大でした、思ってたより若い人も多い

    1は第二種電気工事士の筆記試験の際に、久々のテストだったのでめちゃめちゃ緊張しました。そんな自分がちょっと嫌で、試験慣れしておこう、毎年1つは試験を受けよう、と決意したのです。

    2は、京都の街をランニングした際に「ここって有名だっけ?」と素通りしてしまうことが多く、損をしているなぁと思った。

    3は、京都検定なんて無意味で役に立たない、と思っていたのが変化したわけですから、年齢のせいもあるかなぁと思います。

    勉強して変わったことは?

    京都検定を勉強してみて、とても豊かになりました。

    京都を東奔西走したり上がったり下がったりするに際して、街がレイヤー状に見えてきます。
    例えば、東寺の五重塔を目撃すると、高さは何メートルか? 何時代に再建されたものか? などなどが頭に浮かんで、今まで見えなかったものが見える。

    また、関心のなかったジャンルのこと、例えば華道、茶道、庭、近代建築物、絵画などなどが頭に入った。
    豊臣秀吉とか坂本龍馬とかは誰もが知る存在ですが、文化人として名を残す人たちもいて、そういう生き方も京都に影響を与えたんだなぁと新たな考え方が芽生えた。

    こんなふうに、京都には驚くほど重厚で深い歴史が積み上がっていて、知らないことが積み上がいき、その場所に自分が立っているという感覚は、勉強した人にしかわからないもので、私は豊かになったな、と誇らしく思います。
    京都に積み上がった歴史の登山を楽しむ感覚。これがとても高い山なのです。目には見えない高い山が身近に存在しているのです。

    勉強法は?

    12/17発行の京都新聞で答え合わせをしてみたところ、75点でした。
    70点が合格ラインですので、丁度よい点数で合格した模様です。
    勉強時間に過不足なく、とても効率的。

    ですので、堂々と勉強法を書けますね。良かったです。

    勉強期間は、11/3に申し込んだ後からですので、40日ほど。
    前年の過去問をやってみて、確か60点台でしたから、1ヶ月あれば10点くらいは余裕だと思って受験を決めた。何も勉強せずに60点なので、テキスト通読すれば70点は超えると思った。

    で、これはかなり甘かった。
    テキストを楽しみながら読んで、過去問にチャレンジしたのですが、点数が上がらないのです。70点以下しか取れない。
    ちなみに過去問は京都新聞のサイトにすべて掲載されています。
    >>https://www.kyoto-np.co.jp/feature/kyoto_kentei

    だけど、とにかく過去問をやる。
    間違ったところを調べる。できれば別の選択肢についても調べる。
    これをするとだいたい2時間くらいかかります。

    あとは、公式テキストを通読。いつもの読書時間をこれに充てた。
    極力毎日1時間~1時間半ですかね。

    過去問を7年分やったあたりから70点を超えだして、成果は出てきたなと思いました。
    過去問、第17回から遡り1回までをやり終えて、本番に臨みました。

    これで75点、ギリ合格という感じ。

    すべて暗記科目ですから、出題傾向を把握したあとは、赤のペンと緑のシートで消すやつを駆使して、社寺の名前と特徴を覚えるような勉強法が相応しいのかなと思いました(やってませんけど)
    未だに私は、龍光院と龍吟庵とかおぼろげだし、密庵とか八窓軒とかどこにあるのかよく分かりません。
    妙顕寺、妙蓮寺、妙満寺とか、ぜんぜん違いが出てきません。
    合格はしたものの、まだまだムズいです。

    JR花園駅から徒歩で立命大に行ったので、妙心寺を経由する

    やはり、行って覚えるのが良いと思います。
    妙心寺に退蔵院という塔頭があるのですが、文字情報と実際の規模感を味わうのでは感覚が変わりますからね。

    基本的には暗記ですが、楽しみながら、味わいながら学ぶのが良いですよね。
    やっぱり、今宮神社に行って、実際にあぶり餅を食べたら、そう簡単には忘れませんよ。

    12/1に今宮神社に行った

    今後のこと

    1級はちょっと難易度が高すぎるので、チャレンジする気は起きていない。
    だけども、今後京都を歩く際には、駒札をじっくり読むことだろう。名物の甘味は食べてみると思うし、行事には足を運んでみるかもしれない。

    あるいは素敵な女性が
    「一緒に勉強、、、しとくれやす」
    とか、おっしゃるのであれば、全力でお付き合いさせていただこうと思います。
    京都のあらゆる名所を巡り巡ろうと思います。
    おお! いい物語が生まれそうだ。

    オススメ

    京都にお住まいの方や、京都を頻繁に観光する方は、1度は過去問を解いとくと良いかもしれません。
    街を見る目が変わってためになると思う。

    だけど、若い人はもっと実用的な資格の勉強をしてほしいと思う。
    40歳を超えてくると、大人としての幅の広さが必要になってくると思うので、丁度よいと思います。
    余裕のある人は、京都検定にチャレンジしてみて下さい。

    こういう教科書的なものは値段に比べて内容が濃く、オススメです。

    以上です。
    私には京都検定よりも、狂人検定の方が向いてるかもですね(笑)
    ここまで、読んでいただいて、おおきにー。

  • 人前で踊ってる奴らの内側の世界について(サイレント盆踊り)

    人前で踊ってる奴らの内側の世界について(サイレント盆踊り)

    2021年11月3日(水・祝)、京都サイレント盆踊り-秋を実施し、6名で踊りました。

    平安神宮の前に変な奴らが現れた!
    それは私達です……。

    2021年夏、コロナ禍によって京都の盆踊り大会は全滅した。
    これは2020年と同じ事態で、2年連続で踊れない夏を過ごすことになる。
    私は怒りました。
    「オリンピックやって、なんで盆踊りはできひんねん!」

    と、文句を言うだけじゃないところが私のエライところで、一歩踏み出すことにした。
    それがサイレント盆踊り。
    適切なディスタンスをとって、イヤホンから流れる音で踊る。
    コロナの感染リスクは低く、音響機器を置く必要がないので場所の使用許可不要。傍から見れば体操をしている集団と同じ。

    8/16と8/22にサイレント盆踊りを実施した。
    4人と3人だけだったけど、我々もご精霊さんも大いに喜んだ。
    しかし、問題があった。

    盆踊りらしく夜に決行したので、良い写真が残っていない。
    これはとても残念なことだ。
    今や、写真や動画を共有するのはマストと言える。

    写真や動画が欲しい。
    そんな理由で、11月3日の明るい時間に集まって、サイレント盆踊りを実施する運びになりました。

    日程は早くから決めたのですけど、10月は気忙しく、ネットワークにも乏しいので、踊る人の集まり具合はイマイチです。10人くらいで踊れる用意はあるし、申込みが増えれば20人でも30人でもいいのになぁ。
    集まる予定の人は4人だけ。

    でもこれはしょうがないと思っていて、
    本物の盆踊り大会に参加したことない人が、いきなりサイレント盆踊りに参加するのは順序が違うなぁと思うのですよ。
    私のイメージでは鉄の心臓を持った、選りすぐりのメンバーじゃないと、恥ずかしくって踊れないと推察していた。

    踊ろうと思っていた曲目に関しても、前日に覚えるというインスタントな方法になってしまった。もっと熟練させておくべきだったのかもしれない。

    そして、当日を迎えました。

    京都の岡崎エリア。平安神宮の前。観光客がちらほら。修学旅行生も歩いている。
    歩行者天国になったのは5年くらい前かな? 広々としていて踊っても誰の邪魔にもならなさそう。
    端っこで踊ると逆に恥ずかしいので、最も目立つ場所に陣取る。

    嬉しいことに前日に2名の参加者が増え、計6名。
    それぞれがイヤホンをつけて、そこから流れる音頭で踊る。

    最初に郡上おどりのかわさきを始めようとして、これはちょっと難しく、炭坑節に切り替えた。
    我々が輪になって踊りだすと、ほどほどに注目を浴びる。遠くからの視線を感じる。
    好奇の目ではなくて、動いているものに自然と視線がいってしまう、という感じだったように思う。
    例えば、大きめの鳥、、、鶴が平安神宮前に降り立ったら、みんな注目しますよね。あまり近づかないようにしますよね。まさにそんな感じの視線を浴びた。

    しかし、その中でもけっこう近くにいた熟年夫婦がしばらく我々の踊りを見つめていた。すると仲間の1人が声をかけたようだ。見ていたおばちゃんが輪の中に入って一緒に踊った。飛び入り参加。嬉しい誤算。
    「しまった。予備のイヤホンを用意しておけば良かった」
    私はそんな風に反省しながら踊ったのでした。

    炭坑節、河内音頭、春駒、ドンパン節、ダンシング・ヒーロー、かわさき、江州音頭、用意したラインナップ全てを踊った。1時間強。
    散歩中の人の視線を浴びたり、七五三参りの子どもから見られたり、何人かに写真か動画を撮られたりした。

    我々は十分に変な集団でした。
    「完全に鴨川ホルモーやないか!」
    と、私はクスクス笑いました。

    しかしながら、もし私が通行人として通ったなら、
    「うわー、面白そうなことやってるー、仲間に入りたーい!」
    と、目を輝かせたに違いない。
    変なことしてる奴らの内側の世界に入れていて、私は幸せだなぁと思うのです。
    踊ってる者同士で視線を交わし、笑顔を交わして、楽しいなぁと思うのです。

    空が青くて、気候は涼やかで、周りは広々として、人々は適切な距離で眺めてくれる。
    最高のロケーションでした。

    残念だったのは1点だけですね。
    お弁当を持参したら、ピクニックみたいにその場で昼食も美味しく食べれたのに。
    お腹ペコペコで家まで帰ったのです。
    もっと余韻に浸れたのになぁ。

    とても良い日でした。
    願わくば、またこんな日を過ごしたい。

    次からの企画は何も決まっていない。
    残念なことだ。

    マネジメントをしてくれる人がいたらいいのになぁ。
    私は盆踊りではプレーヤーになりたいから、主催者には向いてないんじゃないかなぁ。
    もっと戦略的にサイレント盆踊りの良い面を引き出してくれる人がいるはずだ。
    色んな人の意見を参考にしながら、ベイビーステップで広げていきましょうかね。

    とにかく、2021年11月3日、平安神宮前でサイレント盆踊りを実施した。
    これは京都盆踊り史に刻まれたに違いない。

    また開催できる日を夢に描いておきます。

    ちなみに、サイ盆にガールファン来る、とはなりませんでした。
    ファンが集まるくらいの革新的盆踊り集団になるように、がんばります!

  • ファンタジー小説だな「羊をめぐる冒険」

    ファンタジー小説だな「羊をめぐる冒険」

    こんにちは。本日は読んだ本の話を書きます。
    村上春樹さんの「羊をめぐる冒険」を読了しました。
    感情表現が少なくて、非現実的だった。

    ラム肉が食べたい。
    この間やったバーベキューで食べた。
    もう一度食べたい。

    そうそう、
    私が昔、自転車旅行で北海道に行った時、バーベキューパーティーに招かれたことがある。
    炭火でジンギスカン肉が焼かれていた。
    「北海道では羊の肉でバーベキューをするんだぁ」
    と、親切にしてもらった。

    あの頃は、少年が大きくなっただけの青年だった。
    受けた恩義を、私はお返しできていたのだろうか?

    旅が終われば焼き鳥屋なんかをやって、普通のオヤジになろうと思っていたけれど、あれから訳の分からぬ獣道に迷い込んで、ここまで来てしまった。
    少年が歳をとっっただけの中年になった。
    自分が立派になった姿をお見せしたかったのになぁ。

    さて、そんな私ですが「羊をめぐる冒険」を読みました。
    村上春樹さんはとても有名ですが著作を読むのは初めてです。
    「人を煙に巻くような文章やなぁ」
    と、舌打ちしながら読んだ。

    序盤はストーリーが進まなくて、ちんたらちんたらしてるから、上巻の中ほどで読むのを中断しました。
    他の本を3冊読むくらい中断した。
    ラム肉を食べなかったら、そのままほったらかしていたかもしれない。

    ラム肉に導かれるように再開したところ、黒い服の男(秘書かな)が出てきたあたりから、冒険譚になっていき、面白くなった。
    身近な世界を舞台にしていると思いきや、ファンタジー小説のようだ。
    ストーリー展開も不思議さがあるけれど、主人公の感情が伝わってこない点が非現実的で、ファンタジックなんですよね。
    だから指輪物語っぽい。ホビットしか読んだことないんですけど。

    村上春樹さんにファンが多い理由は、独特の文章のせいで色々と分析したくなって、自分なりの解釈をしたくなるような点が魅力になっているのかも。

    私も、
    地の文ではストーリーが進まないのに、会話文で進むなぁ。
    というような分析を語りたくなる。
    もっと読み込むと、もっと語りたくなるんだろうなぁ。

    めんどくさいので、読み込まないことにします。

    この本で得たものと言えば、感情をダイレクトに書かずに、行動だけを書くとかなり詩的な文章になることを発見しました。
    「だから、とても嬉しい」

    と、こんな風には書かずに、
    「そうして私はニンマリと笑った」
    みたいに書くと、文章のレベルが上がる。
    いや、文章にレベルなんてない。所詮は好みだ。

    とまぁ、煙に巻くスキルが上がったかもしれません。

    とにかくラム肉が食べたい。
    ラムレーズンのアイスも好きだ。
    うる星やつらでは、ラムちゃんより、しのぶちゃんの方が好みだった。
    また、バーベキューしよう。

  • いつもの伊吹さんだ!「ミッドナイト・バス」

    いつもの伊吹さんだ!「ミッドナイト・バス」

    こんにちは、今日は読んだ本の話。
    伊吹有喜さんの「ミッドナイト・バス」を読了しました。

    夜行バスに乗る機会はありますか?

    私は昔、東京ディズニーシーのキャストでしたので、実家の京都と往復する時、乗りました。
    2席が連なってる安いやつ。
    便利なことに東京ディズニーランドの入り口まで連れてってもらえたから、バスを降りた後は徒歩でアパートまで帰れた。

    当時付き合ってた彼女が見送りに来てくれたことを思い出す。
    しかし最終的にはヒドいことしたなぁ……。

    この、ミッドナイト・バスという小説は大型バスの運転手である利一というオッサンがメインの主人公です。たまに東京↔新潟間の夜行バスを運転する。
    昔、妻に逃げられたという傷を負っています。
    このあたり、とても伊吹作品らしい。

    また、脇を固める、利一の息子・娘なんかもやはり傷を負っていて、逃げた妻も登場するのですが、やはり問題を抱えている。
    こうしてヒューマンドラマが展開されていくのです。

    私は伊吹作品がとても好きです。誰かが死んだり、めっちゃ悪いやつが出てこないのに、それでもお話が進んでいく点が。

    本作は珍しい構成で、連作短編みたいでもある。
    利一の視点で物語が進むだけではなく、他の登場人物の視点で話が進む。8人くらいかな?
    それぞれの理由で夜行バスに乗る人々です。
    別の人の視点で、別の登場人物が語られて、絡み合って面白い。
    利一の娘が作った商品を、別の登場人物が持ってたりする。交錯している。

    で、この構成を可能にするのが、伊吹さんの文体です。
    比喩表現とかレトリックの類がほとんどなくて、ストーリー展開が早い。
    テレビの副音声で、目の不自由な人向けの音声がありますよね。
    ナレーターが「聡は大通りを歩いてゆく」みたいに語るやつ。
    あれを文字で読んでいるような気になる文体です。
    文学的ではないのですが、逆にそれが個性的。

    また、会話などではコミカルな雰囲気もあり、シリアス過ぎないのも良いです。
    利一の娘はアイドル活動的なことをしているのです。パフォーマーが出てくる点も伊吹作品っぽいところ。

    とにかく上記の点が、私は好きなのです。
    「いつもの伊吹さんだ」
    と、嬉しくなります。

    今、調べたところ、この作品は直木賞にノミネートされているし、映画化もされています。
    注目に値する作品ということですね。

    主人公の利一は40代後半ですが、私は40代前半。
    小さい頃から抱いていたコンプレックスを克服したかと思ったら、大人になってから受けた傷をまだ克服できてなかったりする。
    さらには老いもやってくる。
    そんな年齢ですね。

    まぁ、悩みは尽きないし、その分だけドラマがあるってことですな。

    夜行バスに乗ることはなくなりましたけど、この作品で思い出した。
    夜に浮かぶオレンジ色の光、
    サービスエリアで降りるとひんやりした空気がながれてくること、
    隣のオッサンのいびきがうるさかったこと、
    首に引っ掛けるタイプの枕が便利なこと、
    ずっと続く振動、乾燥した空気、コソコソと喋る人たち。

    圧迫された空間で、嫌いだったなー。

    オススメできる小説です。
    普通の人の普通の悩ましい小説。
    読みやすく展開も早いのでノーストレスですよ。

  • 100年前の小説がこんなに面白いなんて「痴人の愛」

    100年前の小説がこんなに面白いなんて「痴人の愛」

    今日は読んだ本の話。
    谷崎潤一郎さんの「痴人の愛」を読了しました。

    さて、ブログの著者たる私ですが、自らを狂人と名乗っておりまして、何に狂いたいかというと踊り狂いたいわけです。
    踊りはすべてを超越します。

    とはいえ、他の願望も無くはない。
    例えば、自分の店を構えて生計を立てたいとか、小説を書いてそれが出版されたらいいなぁとか、ランニングする元気さを60歳まではキープしたいなぁとか。

    あとは、右も左も分からないような女の子を囲って、何でも言うことを聞いてくれる自分好みの女性に育てたい。

    なんてことは、思わなくなりました。
    痴人の愛を読んでからは。

    痴人の愛は大正時代を舞台に書かれた小説で、およそ100年前に発行されています。
    しかし、意外なほどに読みやすく、また気持ちが通ずるところがある。
    とても面白いので、名著だと断言できます。

    主人公は28歳でエリートサラリーマン。当時の電気関係の仕事に勤めているので、今でいう大手IT企業でしょうか。
    そんな彼が、カフェエで15歳の少女ナオミと出会います。
    当時のカフェエはキャバクラ的な場所を指していると注釈には書いてありました。
    そのナオミを見初め、当初は女中としてその身を引き受けることになり、同居生活が始まります。
    序盤は可愛らしく素直なナオミ。なんでも言うことを聞いてくれるヒロインの登場は少年マンガに出てきそうな展開です。
    読者の私も「ナオミいいなぁ、カワイイなぁ」などと思います。

    しかし、徐々にワガママなってくるナオミ。
    言うことを聞かないナオミ。
    対立してくることも増える二人。

    さらに、どんどんナオミが助長していき、最終的には・・・!

    面白いです。
    主人公の嫉妬心なんかにとても共感するところです。
    主人公の心理描写が緻密で、ナオミのことを蔑みつつも、やっぱり好きだと思う心の葛藤。
    あれやこれやの葛藤。
    葛藤。
    面白いです。

    場面の選び方も今でも通用する展開だし、社交ダンス会などに赴く展開も良いです。
    当時の社交ダンスは最先端な遊びだったのでしょうかね。
    少し前のナイトプール的な感じ? 
    リムジンパーティー的な感じ?
    ナオミは西洋に染まってパリピになっていくわけです。

    谷崎潤一郎がとても緻密にナオミへの好意を描くものですから、読者の私は過去に好きだった女性を思い出し、手痛い目にあったことを思い出し、
    「ああ、主人公と同じだなぁ」
    と、嘆かわしい。

    主人公と同じくらいに、女性にハマってハマって、最後は痛い目にあう。
    そんな人生を歩んでまいりました。
    茨の道でした。

    「そんな苦しみを味わうなら、別の女性にいけばいいのに」
    なんて、主人公に対して思いつつも、一方では、
    「別の女性に興味がなくなるくらいの好きな人がいい」
    とも思います。

    この沼からは抜け出せぬようです。

    痴人とは、アホな人ってことですよね。
    それでもいい。
    それでいい。
    君のことが好きだ。

    と、いう状況に、なる覚悟でいつもいます。
    どうぞよろしくお願いします。

    (↓電子版は無料)

  • デートラン♡真っ赤に染まる君の顔

    デートラン♡真っ赤に染まる君の顔

    いや、特にね、ロマンティックなことなんてなかったんですよ。
    それでもロマンティックなこととして捉えられたならば、幸せな気分になれるかも。

    だからある日のデートランについて、なるべくポエミーにいきます。

    日曜日、快晴、ちょっと暑いくらい。
    最近ではたまにしか乗らない京阪電車に乗る。七条まで行くんだけど、普段ならこの距離は自力でいける距離だ。自転車でも行けるし、走っても行ける。
    今日はそれをしない。待ち合わせだから。

    待ち合わせこそ、デートのデートらしい点だ。
    10分前には着いてた方が良いのだろうかと考えたり、本当に来るのだろうかと心配になったり、やや人目が気になったり、今のうちにやっておくべきことはないかと思考を巡らせたり、それこそがデートであり、やはり10分間くらいはそれを味わったほうが良い。
    日差しがテカテカして、少しでも肌を日に晒すと、ジリジリくるような快晴。日陰に入っていれば心地よい気温。できるだけ日差しの当たらぬコースを走らねばなぁと思う。

    川端通りの向こうから、スポーティーな服を着た女性が小走りでやってくる。まるで待ってる人がいるかのように。
    あぁ、いるんだった。それは僕だった。
    青空の下、シックだけれど女の子らしいランニングウェアを着ているその人は「お待たせしました」とかって言ったと思うけれど、僕はその人の瞳の輝きに見とれて、彼女が何と言ったか、自分が何と返したか、蒸発してしまったように記憶にない。

    すぐさま僕は七条通りの高い方へ向かって歩き出した。
    対面して話すと緊張しそうだからかな。
    「どこを走るんですか?」とか、そんな質問があった気がする。
    何と答えたか本当に覚えていない。
    緊張しないように、ただ歩いた。
    だけど、ちょっとくらい、緊張した方が良かったのになって、今なら思う。

    こんなことを書いてね、自分の物語世界に入り込めたら、ちょっといいなぁと思うけれど、そういうのを失いつつあるのかもしれません。

    「三十三間堂には中学の遠足で来たことがあります」
    歩きながら聞いた言葉。この時間が最もデートっぽかったかもしれない。走り出したら、コーチと選手みたいになってしまった。道案内する人とそれに従う人の二人。
    でもそれは、独りで走っている時にいつも憧れる場面だ。誰かと一緒に走れたら楽しいだろうなぁと思っていて、それが叶って、自分の理想の中にいるような1時間だった。
    特に泉涌寺の参道の林間なんかは、二人で別世界に迷い込んだようであったし、伏見稲荷のトレイルは子どもの遊び場のようだった。
    「こういう道が大好きなんですよ」
    と、僕は落ち葉を踏みしめた。

    ときおり君は息を切らせ、真っ赤な顔をしていた。
    それが恋するときにポッ、となる赤い顔ならとても嬉しいけれど、それはただ運動による血行促進だと僕は知っている。
    「しんどくないですか」「どこか痛くないですか」
    こんな風に、尋ねるだけ。
    彼女が酔った時にはこんな風に赤くなるのかな。キザなセリフを言った時はどうかな。風呂上りはどうかな。
    そんな風に、想像するだけ。

    彼女はもう住まいを引き払うらしい。
    どこかで泊まり込みの仕事をしたり、どこか外国に行くらしい。
    僕と君は今後も繋がっていられるほどの関係性を構築できていないと思う。
    すでに終わっているようだ、始まってもいないのに。

    ロマンティックなことなんて何もなかったんですよ。
    爽やかさが、ただ通り抜けたような日でした。

    おしまい