予定のない連休なので、急に進路を変えた台風にも『どうぞ、どうぞ』って思っている。
寂しいやつだなぁ、オレは。

心躍るイベントもなく、変な遊びに誘ってくれる友達もおらず、愛しき恋人もいない。
ランニングと読書しかやることがない。
足に疲労を溜めて、畳の上に寝ころんで、手にとったのは「四畳半神話大系」、森見登美彦氏の作品です。

四畳半神話大系

数年前、アニメでやっていることは知っていた。
でも、小難しそうな、哲学的な何かかと思ったので、スルーしていた。
“四畳半神話大系”って、小部屋的に狭いのか宇宙的に広いのか意味不明だ。

最近になって「有頂天家族」「夜は短し歩けよ乙女」と森見登美彦作品を読んで、「四畳半神話大系」もオモロイよって言われたので手に入れました。

いや、その通り、実に面白かったです。

日常の範囲から出ない冒険

ご近所ファンタジーなんですよね。
身近なところで繰り広げられる物語なのだが、冒険感がある。

神様と出会ったり、幻の亀の子束子を探しに行ったり、ラブドールを誘拐したりと変なことが起きる。
異世界に行くわけではないのに、ハチャメチャな日々だ。
日常の範囲から出ない冒険。

その日常というのも、京都を舞台としているから臨場感がある。
出町デルタや木屋町など、雰囲気がよく分かる。
『そういえば、屋台のラーメン屋出てるよなぁ』って思ったり。

馴染みの風景とその中での冒険にワクワクします。

落語のようだ

独特の文体も、ユニークな登場人物たちも落語のようです。
複雑な自意識も、アホな掛け合も面白い。

期待通りの森見節です。

構成

構成が面白いのだが、ネタバレさせたくないので詳細には書かない。
4話あって、4話とも似たような話になっている。
コピペしたんじゃねぇの?と思わせるくらいだ。

分かり切ったラストに向けて進んでいくのに、それでも差異を探しちゃう感じが魅力的だ。
謎だったものが、少しづつ分かってくるのも上手い。

この構成に『面白いなぁ~、上手いなぁ~』と感服させられた。

友情

結局のところは、奇妙な友情の話だとまとめられる。
主人公は悪友の小津に振り回される、だがしかし切っても切れない縁がある。
だから、物語が物語として成立する。

人と関わり合いながらじゃないと楽しいことは起こらない。
『ひとりでランニングしててもダメだなぁ。』
『読書ばっかりしててもダメだなぁ。』
って、ちょっと反省。

いつも楽しそうな小津に憧れを抱きつつ、自分もご近所大冒険を繰り広げてやろうと思った次第です。
逮捕されない程度に暴れないとな~。

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投稿者: 石黒わらじろう

京都の古い民家で暮らしている。 趣味はランニングとブログと盆踊りを含むフォークダンス。 別名義で書いた小説は映画の原作として採用された。 自分で建てた小屋にて暮らしていたことがある強靭な狂人。 地球にも自分にも健康な生活がしたい。

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