こんにちは、wishigrowです。

作者の名前のせいで気になっていた小説がある。
「カズオ・イシグロ」の「わたしを離さないで」だ。

『この人、親戚なんじゃねぇの?』って思ったりしていたのです。

カズオ・イシグロ

1954年、長崎県生まれ。
5歳の時に、父親の仕事の関係でイギリスに渡る。
その後イギリス国籍を取得した日系イギリス人。
イギリスでは色んな賞を獲得している著名な作家です。

で、カズオ・イシグロ氏ですが、wishigrowと姓名がかなりが被る点がある。
顔写真を見ても、親戚にいそうな顔立ちだ。
耳たぶもふっくらしてるし。

もしかすると、『自分とこの人は同じ能力があるのかもしれん。』と思ったので、作品を読むことにしたのです。

わたしを離さないで

主人公はキャシー。
現在31歳で、過去を回想する語り口で物語は進行します。
三部構成。
第1部は少女時代、ヘールシャムという孤児院のような施設で過ごす日々。
第2部は青年期、コテージでの自由と将来への不安を抱えた時期。
第3部は介護人になってからの時期、少女時代の不思議な出来事が解明する。

友達であるトミー(男)やルース(女)との人間関係を描きつつ、施設の謎や何かを隠すような大人たちの謎も出てきながら物語が進みます。

実際に起こったことであるかのような緻密な描写がすごい。
架空の物語、とくに女性を主人公にしているのに、こんなのが書けるんだなぁと思った。

小学校の頃を強烈に思い出す

キャシーたちは孤児院のような施設(ヘールシャム)で育ちます。
wishigrowも似たような環境で過ごした時期がある。
実際には入院という形なのだが、イメージとしては山村留学に近いと思う。
だからその小学生時代を強烈に思い出しました。

“秘密親衛隊ごっこ”の描写がリアルで、僕らもそんなんことしてたなぁと思いだした。
同世代の女子を敵に見立てて遊んでた時期があった。
密かに悪者のコードネームを付けていたっけな。
ドラクエ的世界観の中で、女子がモンスターだったんですよねー。

女子を女子として好きになる前は、そんな時期があったよなぁ。

他にも小学生時代のあるあるが出てきて、強烈に懐かしかった。

図画工作に力を入れる

ヘールシャムではなぜだか図画工作に力を入れるように指導されます。
これも物語の謎の一つなのですが、トミーの説によるとこうです。
「絵も、詩も、そういうものはすべて、作った人の内部をさらけ出す。作った人の魂を見せる。」

そうだよな、クリエイティブってのは自分の分身を作るようなもんだよな。
何かを作って人に見せよう。
自分の魂はどんな風に見えるだろうか。
そんな風に思った。

思い出こそ宝

物語の最終段階に入ると、謎だったことが明るみになります。
主人公たちから見れば、手のひらの上で転がされていたような心境になるのだろうか。
しかし、その手のひらの上でも、思い出を積み重ねられたのは幸せなのだと思う。
少女時代の緻密な描写は、それが大事だという作者の想いなのではないでしょうか。

人生の目的ってそういうことなんじゃないかと思ってる。
死が目前に迫った時に、笑えるくらいの思い出がたくさんあるといいなぁ。
これからもそういう思い出を増やすべく、いい企画を立てていこう。

まとめ

少女時代の人間模様や世界観の描写で自分の少年時代を思い出した。
そうやってるうちにどんどん謎の出来事が増えていく。
娯楽作品ではなくて、灰色に覆われたような世界観だけど、読み進めないといられなくなる。
味わい深いです。

さて、『自分とこの人は同じ能力があるのかも?』という疑問はどうだったのでしょうか。

私にはカズオ・イシグロ氏のように架空の物語を紡ぐ能力がないことがよく分かりました。
緻密すぎ!

「少年時代を思い出させてくれてありがとう、おっちゃん。」って感じ。

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投稿者: 石黒わらじろう

京都の古い民家で暮らしている。 趣味はランニングとブログと盆踊りを含むフォークダンス。 別名義で書いた小説は映画の原作として採用された。 自分で建てた小屋にて暮らしていたことがある強靭な狂人。 地球にも自分にも健康な生活がしたい。

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