今日は小説「浜風屋菓子話(日乃出が走る)」について書きます。

突然ですが、明日は読書会なのです。
口頭で本を紹介する前に、ブログに書いておこうという魂胆です。
ちゃんと言いたいことをまとめておくと、うまく喋れはず。

で、「浜風屋菓子話」という小説を紹介します。
タイトルの通り、和菓子屋さんの話なのですが、舞台は明治維新の直後という設定。
江戸の老舗和菓子屋の娘である日乃出という女の子が主人公。16歳なので世が世なら女子高生ですね。
父が急逝したことにより、老舗和菓子屋が悪い奴らの手に落ちるんです。財産が人手に渡る。
だけど、どうしても家に代々伝わる掛け軸だけは取り返したいから、対決するのです。100日で百両を稼ぐことになる。
これを達成するために、横浜に出向くところからお話が始まります。

読みやすくて面白いお話でした。これぞエンターテインメント小説って感じ。敵役がしっかりいるし、最終ゴールも明確。仲間との出会いもあり、いいキャラなので楽しく読めます。

ダメダメな菓子屋を頑張って盛り立てる主人公たちの姿は、立身出世の成長物語で、私も商売を頑張ろうかなぁという気になります。
おやきの出店で稼ごうとしたりするんです。

また、資本主義VS仁義、みたいなテーマが存在しています。金を稼いで自立する事が大事だ。いや、人情が大事だ。どうする?みたいな。女子高生がおやつを作る話だけではありません。

江戸時代から明治時代に変わる時の、横浜というハイカラな町が舞台になっているので、価値観の変化や、それについていけない人なども描かれています。
その点は、ITにより世界が激変する現代に通ずるものがあるかもしれません。

著者の中島久枝さんは、元々はフードライターをされていたとのことで、おやつの描写が細かいです。
序盤に、大福がめっちゃ不味いという描写が出てくるのですが、本当に不味そうに書かれていて、筆力あるなぁと思いました。

このシリーズが3巻まで出ています。
しかし、1巻はしっかりと完結までまとまっているのですが、2巻、3巻はダラっとしたストーリーになっています。敵役をしっかりやっつけるエンディングを期待しながら読むのですけれど、、、どうも中途半端な感じ。
巨悪を倒すよりも、1つ1つのお菓子で一人一人の問題を解決していくような話を模索したのでしょうかね。
表紙の違う新装版と旧版があります。

あと、この小説のターゲットはどの世代なんだろう? って疑問が浮かびます。女子高生世代を主人公にしているけれど、扱ってるテーマが古風なので、そこまでティーン・エイジャー向けではない。

明治という時代を舞台にして、テーマもやや難しい。そこにお菓子と若者の青春を織り交ぜて、読みやすくなっていると捉えるのが良いのかもしれません。

お菓子を一生懸命に作って、色んな工夫をして、一生懸命に売る若者たちの奮闘を読んで、商売ってこんな風なら楽しいよなぁと思った次第です。

商売を頑張ろうかなぁと思わせてくれる作品です。

以上です。

読書会>>好きを語ろう読書会(京都伏見桃山)

(35分)

募集中のイベントはありません

投稿者: 石黒わらじろう

京都の古い民家で暮らしている。 趣味はランニングとブログと盆踊りを含むフォークダンス。 別名義で書いた小説は映画の原作として採用された。 自分で建てた小屋にて暮らしていたことがある強靭な狂人。 地球にも自分にも健康な生活がしたい。

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です