今日も読んだ本の話。
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1ヶ月以上前だったかと思うけど、森見登美彦さんの「聖なる怠け者の冒険」を読みました。
7/14、つまりは明日なのですが、読書会が行われるのでこの本を紹介しても良いかなぁと思っている。なぜならば祇園祭宵山の一日を舞台にした物語だからです。
祇園祭はやらないことになっていますので、せめて本を読んでその気分に浸るのはいかがだろうか?
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この小説は著者視点で語られる物語で、小和田くんという怠け者がメインの主役のようでいて、そうでもない。ポンポコ仮面や、変な探偵や、探偵助手の可愛らしい女子大生が登場します。
森見先生の遊び心で目的のない怠け者を主人公にしたらどうなるのか? って書いてみたんじゃないでしょうかね? 私も小説を書いていますが、目的のない主人公だとストーリー展開が難しくなるのですけど、先生はあえてそれをやったのじゃないかと思います。
その結果はというと、やはり主人公にはなりきれていない気がします。ポンポコ仮面の方が色々と頑張っているしなぁ。
それでも破綻せずに最後までいけるのが実力なのかなぁ。
まぁ、色んな視点で物語がドタバタと展開するので、面白いです。
そして、柳小路。
そうなのです、四条河原町から地味な道をすすっと入っていくと、さらに地味な路地があるんです、それが柳小路。
くにゃっと曲がった道で突き当りが見えない細道はどこか別の場所に繋がっていそうで不思議なんですよね。
以前からこの柳小路が気になっていたし、この通りにある焼き鳥屋に行ったことがある。そしてお社があるのも面白いところです。
さて、森見先生はこの場所をフューチャーした物語をお書きなさる。この本にはまぁまぁの頻度で柳小路が出てくるのです。
先生、やるなぁって思いましたね。
柳小路を出してくるなんてセンスが丁度いいなぁ。
私も小説を書いて、自分の好きな場所に物語を浮き上がらして、読者にとってはレイヤーが重なるような体験をして欲しいなぁ。
小説家になりたいとは思っていないけれど、そういう小説が書けたらいいなぁ。
あとは、ドジっ子女子大生が宵山の賑わいに囲まれて迷子になって同じ場所を何度も通る感じ、好きですね。宵山と言えば私でさえも現在地が分からなくなってしまうものです。それってちょっと怖くて、やっぱり面白い。
宵山終焉の四条烏丸も描かれていて、あの風景を目撃した私にとってはたいへん共感したところです。
森見先生には勝てないなぁと思いますね。
個性的な登場人物、ヘンテコな団体、京都の描写、扉の向こう側にあるようなご近所ファンタジー、どれをとっても大好きですね。
ありがたやありがたや。
以上です。
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