やろうと思っていた、でも、ほったらかしにしていた。
こういうものは沢山ある。
読もうと思った本や、勉強しようと思ったテキスト、料理しようと思った食材、どんどん積まれていってしまう。
電子工作キットを買ったのはずいぶん前の話だ。
4年前とかだろうか?
「FMミニワイヤレスマイク」を買った。
これは、ワイヤレスマイクとして使ってみたかった訳だが、ちょっと変なマイクを作りたいと思った。
缶ビールの形状のマイクや、酒瓶形のマイクがあったら、司会者は飲んでるみたいに喋ることが出来て、それって声を聞いている人も酒が進むんじゃないか。
こんなどうでもいいことを考えたわけで、どうでもいいからほったらかしになるのです。
○
しかし今回、電子工作すべきタイミングがきた。
サイレント盆踊りのためだ。
音頭を無線で飛ばすシステムを欲している。
何かしら買って済ますことも考えたが、丁度いい機会だから、電子工作をすることにした。
そう、いつもこういう気楽な動機で始めて、いつも苦労する。
なかなか大変でした。
○
まず、キットの袋を空けます。
小さなものがいっぱい出てきます。
さてここからどうしたらいいのか?
1つづつをはんだ付けすべきなのか、あるいは一旦差し込んでから一気にはんだ付けすべきなのか?
しかも、端っこからはんだ付けすべきなのか、真ん中からはんだ付けすべきなのか?
分からない事だらけです。
これは、ほったらかしになるなぁ、と納得した。
「とりあえずやってみよう」
部品は先に差し込んで、端っこからはんだ付けすることにした。
だけれどもうまくいきませんでした。
○
はんだ付けしてみるのだが、どう考えても扱いにくい。
上手く出来ない。
「下手すぎるなぁ、無理だなぁ」
もう諦めようかと思いました。
しかし、これはハンダごての先っぽが太すぎるし、熱が高すぎるのではないかと思って、ネットで調べた。
本当に初心者ってのは馬鹿ですね、ハンダごてに色んな種類があることを知らなかった。
私が使っていたのは、HAKKO REDの60Wだったのです。
これは大物の電気器具用で、電子回路には全く向かないものだと分かった。
この時点で中断しようかと思いましたが、最寄りのホームセンターに向かうことを決意した。
これも悲劇を生むことになる。
○
ホームセンターにバイクを走らせた。HAKKO REDの20W。ハンダごての先っぽがもっとも細かったのを理由にこれを選んだ。
レジに向かおうとすると、屋根に雨の当たる音が聞こえてきた。
ものすごい豪雨に見舞われた。
バイクで来た、レインコートは積んでない。
しばらく雨宿りした。スマホでブログの更新をしたり、サイレント盆踊りの案内メールを送ったりした。
しかし30分以上待っても雨は止まず、空の色が夕暮れを予感させた。
暗くなったら危険度が増すと思い、豪雨の中、バイクで突撃した。
まるで滝行だった。
すぐにびしょびしょになった。
気をつけたので体は無事に家まで帰り着いた。
服のままで泳いだ後のような状況になっており、玄関でパンイチになった。
こんな状況に陥ったのは小学生以来だ。
○
新たなハンダごてを手に入れたので、作業を進める。
先っぽが細くなるので格段にやりやすくなったが、それでもめちゃめちゃ細かい作業だし、初心者だし、はんだ付けはすごく汚い仕上がりです。
リード線というやつが林立するので、それをかき分けてはんだ付けするのだが、途中でほり投げたくなる。上手くいかない。隣のリード線にもはんだがくっついたりして、もう嫌になってくる。
それでもとにかくすべての部品を取り付けました。
電池も入れて、通電させみました。
FMラジオを用意して、聞いてみた。
全く無反応だった。
要するに失敗した。
しかも、初心者ですからどこでエラーが起きているかの判定の仕方が分からない。
「どうせこんなことだろうと思った」
上手くいくとは思ってなかった。練習したかっただけ。
○
しかし、ここまでくるとほっておけない。
テスターで通電状況をみてみる。
はんだ付けが甘い箇所があると通電しないことが分かった。
はんだ付けをやり直した。
「動け」
願いを込めて、電源を入れた。
動かなかった。
他にもダメっぽいところの存在は分かっていた。
隣のリード線にはんだが干渉している場所があった。
そのはんだを取り除く。難しいけど取り除く。
「動け」
願いを込めて、電源を入れた。
FMの周波数を合わせた。
挙動した!
この瞬間、
「おっっしゃぁぁぁ」って叫びました。
こんな嬉しいのは久しぶり。気持ちよかった。ホワイトベルグを買いに行った。
○
思っていたより音にノイズが多く、実用的ではないと思いました。
でも嬉しくって、何度もスイッチを入れたり切ったりして、その電波の送受信を楽しんだのでした。
これほど電波に愛情を感じたのことは今までに無かった。
電子工作できました。
やっぱり私は電子工作できました。
小屋を作るし、盆踊りを踊るし、美味しいだし巻きを作るし、マラソンも走りきれる上に、電子工作までできます。
あぁやっぱり、新しいチャレンジが成功したら、自分をもっと好きになれるぅぅぅ。
○
やろうと思ってほったらかしにするのは別に構わないけれど、
やり切るといいことあります。
だけどまだまだ私にはやるべきことがある。
マイクではなく、音頭を電波に乗せないといけないのだ。
チャレンジは続きます。
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