今日は読んだ本の話。
虻川枕さんの「パドルの子」を読了しました。
謎が多くて、読み進めるのは面白かったです。

日本列島が豪雨に襲われていますね。
九州や中国地方が顕著なようですが、我が京都でも逢坂山が土砂崩れで通行止めになるくらいの被害が発生しています。
そんな中「パドルの子」という小説を読みました。水が密接に関わってくる現代を舞台にしたファンタジー小説です。

主人公は中学生で、友達のいない地味な帰宅部の男子。
ある日、同級生の美女と学校の屋上で鉢合わせするとともに、不思議な力を持つ水たまりの存在も知る。
この水たまりに潜って「パドル」をすると、世界が変わる。ドラえもんもしもボックスのような効果です。
また、その効果をどんどん重ねていける。
自分もパドルを操るようになるけれど、美女の方がパドルを操ってなんだか辛そうだ。
何故なんだろう?

と、簡単に書いてはみましたが、たいへん複雑な世界になっています。
なぜなら、美女が変えた世界を変わってないものとして主人公が生きるからです。
作中の時間軸で美女が世界を変えてしまうと、主人公はその世界を生きてしまうし、我々読者も
「携帯電話を持ってなかった?」
「車にのってなかった?」
「その人、死んでなかった?」
ってとても混乱してしまいます。

世界が変わり、過去も変わり、記憶も変わる。
「え? 何でこうなったん?」
と、謎が積み重なっていきます。

謎が積み重なるので、後半は一気読みしてしまいました。
なかなか面白かったです。

親子のエピソードも良かったです。

ドラえもんもしもボックスと言えば「魔界大冒険」ですよね。
猫になっちゃう魔法少女と魔王を倒しに行く話。
パドルの子」には公衆電話が出てきて、時代背景が変だなぁ、と思ったのですが、これはもしもボックスへのオマージュとして、作者が忍ばせたのかもしれません。

さて、私が中学生の時にパドルができたら、何を望んだでしょうか?
「すべての女性が真っ裸で街に出歩く」
そんな社会にしてしまったかもしれません(笑)
あるいは、
「ゲームをしてたらお金が稼げる社会」
「ドラクエみたいな世界」
「かめはめ波が出せる世界」
こういうしょうもないことを考えるのが、実際の中学生だと思います。
こっちのほうが、ある意味ピュアですよね。

その点で「パドルの子」の主人公達は欲望がなさすぎるし、その分、ご褒美的なものも少ない気がしますね。

主人公たちは、私のようにピュアではないので、雨が降ること自体を無くそうとしちゃうんですよ。
そうするとどうなるのか?
豪雨災害はなくなるのでしょうか?
それは本書をお読み下さい。

私は大人になりましたから、中学生の初恋物語を読んでも、さほどトキメキません。
また、すべての女性が全裸で街を歩くのも望みません。
それは、、、

「君を脱がす喜びがなくなるから」

(笑)

今日はちょっとエロく締めることになりました。
以上です。

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投稿者: 石黒わらじろう

京都の古い民家で暮らしている。 趣味はランニングとブログと盆踊りを含むフォークダンス。 別名義で書いた小説は映画の原作として採用された。 自分で建てた小屋にて暮らしていたことがある強靭な狂人。 地球にも自分にも健康な生活がしたい。

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