昨夜降った雪が、朝になっても健在で、窓から見える世界が輝いていた。
仕事は休みになるのではないかと思いつつ朝食を食べて、よい時間になったので確認すると、案の定オフだった。
拙者はたいへん貧乏なので、家にいると部屋を温めるコストがかかる。
だから渋々、散歩に出かけることにした。
というのは、ちょっと悲壮感を出し過ぎだな。
雪の日に外に出ようと思えるほどに、心が元気。
京都伏見に雪が積もるのは久々で、いつもはすぐ溶けたり、溶けない日はめちゃめちゃ荒れたりする。晴れているのに雪があり、お散歩日和だ。街が輝きに満ちていて、ニマニマしながら歩いた。
笑顔で歩いていたら変質者だと思われがちだが、大丈夫。今日は人が歩いていないし、車も通ってない。本当に静かで、自分の足音ばかりが聞こえてくる。
ジャリジャリ、キュッキュッ。
伏見稲荷に行くことも考えたが、それはベタなので、伏見桃山城に向かった。
雪化粧のお城を想像していたが、そこまでではなかった。
拙者が小学校の頃は、スケートリンクがあったくらいだから、こんなのは普通の景色だったんだよな。
30年ほど前の話。
近所なのに、いつもとは違う景色に囲まれて、旅に来た気分。
3時間は遠くに行かないと見られないような景色。
得だな。
旅情の漂う高台。
神々しい陵墓。
心地よいばかりではなく、耳がジンジンしだして、フードを被ったりもした。
でも、だいたいニマニマしていた。
たとえば可愛い彼女がいたら、二人で雪を踏みしめて、キュッキュッと鳴らして、なるほどこれが足音のオーケストラか、なんて思ったりするかもしれないが、たぶん彼女はそもそも「寒いから出かけたくない」と散歩について来ないだろうし、これらはすべて妄想の話なので、とにもかくにも独りでOK。
道端に人がうずくまっているとおもったら、
こういうのもニマニマできる。
1時間以上のお散歩から帰ってきて、こういう時は酒だろうと思って、庭に出た。
キンキンに冷えた日本酒は、雪みたいな味がした。
ちなみに自宅での独り酒を戒律で禁じているが、庭は自宅の範囲に入れてないのでセーフ。
普段は電車や車の音などでうるさいのだが、雪のお陰でしーんとしてて、空を見上げると鳶が羽を広げていたりして、豊かな時間だ。
雪で困った方もいるかもしれが、拙者は満喫できました。
1日くらいならこんな日があってもいい。
体が元気で良かった。
ありがたし。
以上です
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