重い腰を上げて、確定申告に取り掛かることにした。
拙者は個人事業主で、売上も儲けも僅かなれど、その僅かであることを表明するために確定申告をせねばならない。

1年に1回だけのことって、めっちゃ億劫になる。
1年も経てばだいたいそのやり方を忘れてしまう。
しかもそれ自体は何の利益にもならぬ上、支払いが発生することもある。
皆が確定申告を嫌がる理由である。

だが、ちょっと楽しい部分もある。
それは去年の思い出に浸れるところ。

拙者の場合は全レシートをポリ袋に入れて雑に保管。なにも捨てないという保管。だから行方不明になること毎年恒例。
今年も大発掘作業が行われ、見事に救出された。
埃にまみれたポリ袋からレシートを取り出すと、仕事もプライベートも一緒になった1年の経済史があらわになる。
観た映画、旅先のカフェ、工作の部品、馴染みの酒、母に買ってやったハーゲンダッツなどなど、あああの時の! と自分との出会いがある。
さらには、水没して印字が薄くなっているレシートがあるのだが、それは大文字の日を共にした奴らだ。大雨で財布がびしょびしょになった。
思い出がよみがえる。ちょっと楽しい。

経費とそれ以外のレシートに振り分けないといけないけれど、独りで飲んだ酒とか、独りで食った牛丼とかのレシートじゃなければ、だいたいは算入可能かなぁと思う。
しかし、そもそもの売上が少ないから、経費も使えないのが悲しいところだ。

年々働くのが厭になり、売上がどんどん下がっているのだが、いずれは小説家になって、印税や原作使用料がバシバシ入ってくると思うので、その時に確定申告は意味をなしてくると思う。
定収入のままでいい。売上アップとかぜんぜん目指さぬぞ。
欲しくないものに手を伸ばすほど、人生に時間など無いのだ。

庶民には細かく確定申告させといて、自分たちはザルみたいな金の使い方をする政府を批判したいところだけれど、拙者の言葉は批判するためには使うまいと決めたからな。
お怒りコンテンツは増やさないで、生きていきたい。

机に並べたレシートを見ながら考える。
いつか「思い出レシートお茶会」を開いて、くじ引き風にレシートを引いて、なぜそれを買ったのかとその日の思い出を語る会をやってみたいな。
おもしろトーク飛び出すかなー。
ラブホの領収書とかだったらおもしろいなー。

以上。

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投稿者: 石黒わらじろう

京都の古い民家で暮らしている。 趣味はランニングとブログと盆踊りを含むフォークダンス。 別名義で書いた小説は映画の原作として採用された。 自分で建てた小屋にて暮らしていたことがある強靭な狂人。 地球にも自分にも健康な生活がしたい。

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