現代は何かを見つけ出すのが簡単になってしまって、宝探しのような幸福を失ってしまった。
ネットで検索すれば売ってるものはだいたい買えてしまう。
拙者の青年時代はそんなに便利じゃなくて、あっちへ行ったりこっちへ行ったり。ビデオもCDもレンタルしていた時代だった。欲しい物がレンタル中だったりした。
手間はかかったけれど、手に入れる喜びはそっちのほうが大きかった気がする。
こういった宝探しがなくなって、今ではお金払って謎解きゲームをやったり、課金してゲームのガチャを引いたり、アプリ上のレアキャラを探す。
そういう社会。

みんな求めてるんだなぁ、宝探しを。

3月になると、Twitterのタイムラインに黄色い花が現れる。
それはミモザ
拙者の観測範囲では女性はミモザが大好きみたい。
拙者はミモザが好きな女性が大好きなので、自然とミモザに興味が湧くのである。
しかし拙者は知らない。ミモザがどこに咲いているのか。

梅や桜がどこで咲いているかは把握しているが、ミモザは分からない。
たぶん植物園とかには咲いているだろうけど、もっと近所にあっても良さそうだし、拙者はランニングを嗜んでいるので、近所の風景には詳しいはず。
ミモザ~、ミモザ~、僕のミモザ~、と恋人を探すように、花を探していた、わけではないけれど、ここんとこ気にしていた。
ネットで検索したりもした。

すると今日、自転車で坂道を気持ちよく下っていると、路地の奥にふわふわの黄色い花が満開になっていた。
見つけた! と思った。
わざわざ坂を引き返す。

近づいて見てみると、思っていたよりふわふわだった。
気持ちよさそう。ふわふわ~。

ギンヨウアカシアかな?

これは近所にミモザを見つけた、という単純な話だ。
だけれども、心がじんわり温かく、こんなことだけで充実した一日になったのである。

これは要するに、前述した宝探しに成功したということだ。
あの時、黄色いふわふわの花と青空を見上げ、ファンファーレが鳴り響いた。

ミモザの発見で幸福を得られるわけだから、もっとこういう宝探しをすべきなんだろうなぁと思った。
先日一緒にトレッキングした先生は比良山の隠された道を探しておられるし、心地よいCafeを探している人もいるし、酒場巡りも楽しいし、旨い酒、良い陶器などなど探す人がいる。
拙者も面白みのあるランニングコースをいつも探している。
まだ知らぬ盆踊り会を探している。
酒飲んで踊り明かすくらいにめっちゃ楽しいことも探している。

みんなが欲しがるものじゃなくていい。見つけたからといってスゴイと言われなくてもいい。
自分にとって発見したいもの。それが宝なのである。

みんながいいと言うものはもちろんいいんだけど、確固たる自分の価値基準があるのもいいよ。

探そう、宝。
じわじわ見つけよう。

以上。

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投稿者: 石黒わらじろう

京都の古い民家で暮らしている。 趣味はランニングとブログと盆踊りを含むフォークダンス。 別名義で書いた小説は映画の原作として採用された。 自分で建てた小屋にて暮らしていたことがある強靭な狂人。 地球にも自分にも健康な生活がしたい。

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