SNSを見ていると、友達や観光系アカウントが桜の写真をUPしているのだけど、天気が悪くて桜が映えていない。
さほどやなぁって思ってしまうのは、今まで桜を見ていたと思っていたが、青空を見ていたのかもしれない。
青空って大事だからなぁ。

アウトドア活動をよくやる拙者にとって雨は行動に制限がかかるのみならず、危険性が増す。
二輪車のタイヤが滑るというのが現実的な危険で、雨に振られると体温が下がるというのが生得的な不快感で、雨に濡れた岩の上は滑りやすくて、比良の百間堤で転んで大ダメージを受けた、あわや大事故のあの実体験。

そんなこんなで、青空を求めているし、桜の写真にもそれを求めるんだろうなぁ。

青春ってのも、青い春なわけだから、晴れわたった空がみんな大好きなんだろうよ。

しかし、桜が満開になったというのに、朝から雨が降っていて、残念な日曜日。
何か約束があったのなら出かけただろうけど、そんなものはなく、ひねもすのたりと家で過ごすことになった。
洗濯をしたり、仕込んだチャーシューのようなものを食べたり、これといったこともなく、読みかけの小説に手を伸ばす。
と、この小説がすんごく青春で、最高。
作者のことを、大好き! 大好き! 大好き! って思いながら読み進めた。
お陰さまでとても充実した春の日、いや青春回帰の日になった。

高校3年生を描いた連作短編集で、同じ高校の別の世代の話。
各年代で流行ったものが作中に取り入れられていて、エモい。ノスタルジー。小さな年代記。
現在53歳~40歳の人にはめちゃめちゃ刺さる青春小説になっているので、この年代の人には超オススメ。
各短編もその頃に流行ったストーリーを下敷きにしているんじゃないかと推察する。
作者がいろんな仕掛けを用意してくれているので、心にズバズバきますよ。

伊吹有喜さんの犬がいた季節という作品です。

拙者はめちゃめちゃ青春回帰してたみたいで、読み終わって鏡を見るとそこに映った自分の姿に違和感を覚えるくらいだった。
悲しくもあり、その読書体験の凄さに嬉しくもある。

降りしきる雨のお陰で、ほぼ一気読みできたので、こんな雨の日も良い。
拙者は読書の神様に好かれてるみたいで、たまたま読み進めた時と作中の時期がピッタリ合うことが多くて(まぁ狙ってそれをやることもあるけど)出会いと別れの春にピッタリの作品で、神様、雨様、有喜様、ありがとう! って感謝してる。

雨降りの休日で、実際にこの目で満開の桜は見れなかったのだけど、作中の桜に思いを馳せ、それは美しく、香りまでも美しく、青春を感じることができた。

桜を見る時、桜じゃなくて青空を見ていたのかもしれない。
いや、その風景が思い出させる物語を見ていたのかもしれない。

良い作品を読んだから、もっと美しい桜を見れるかもしれない。

以上。

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投稿者: 石黒わらじろう

京都の古い民家で暮らしている。 趣味はランニングとブログと盆踊りを含むフォークダンス。 別名義で書いた小説は映画の原作として採用された。 自分で建てた小屋にて暮らしていたことがある強靭な狂人。 地球にも自分にも健康な生活がしたい。

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