郡上おどりが楽しいのは知っていたが、永遠に味わっていたいと思えるほど楽しいことに驚いている。
2023年6月3日(土)、郡上おどりin京都が実施され、みんなと踊った。憎きコロナ禍により3年ぶりである。
台風一過の青空の下、初夏の薫る風が吹き、もはや城のような威厳になってきた京都市役所の前で、下駄の音を響かせる。
カンカン、カンカン、カンカンパン、カンカンパン。
その音が響き渡れば、音頭が加速していく。
見えない自由は欲しくない。踊れる自由さえあればいい。

郡上おどりというのは、日本三大盆踊りの一つで、岐阜県郡上八幡市で実施される江戸時代からの由緒ある盆踊り。徹夜踊りでも有名。ユネスコ無形文化遺産にも登録された。
10種類の曲と踊りがある。
拙者は4年ほど前に徹夜踊りを体験しに行った。1人で乗り込んだので休憩するペースが分からず、終了時には亡者のようになっていた。

郡上おどりin京都はその出張バージョンで、年に1回だけ開催され、今年で13回目だそうだ。
拙者は6年ほど前に初参加させてもらって、それ以降は毎年参加しているが、前述の通りコロナ禍だったので、3年ぶりの参加である。

楽しいのは知っていたが、屋外開催は初体験だ。これまではゼスト御池の地下街だった。
前日には新幹線を止めるほどの大雨が降ったが、その心配はなくなり、逆に日差しと暑さの心配に変わった。水分補給をせねばならない。
しかしこれがいけなかった。

会場に着く前に三条の明治屋でビール350mlを2本買う。
会場で仲間と挨拶を交わしながら、その2本を空ける。

音頭が始まり、人々が櫓の周りに集まる。
京都の盆踊りとしては最大動員で、1000人、くらいの感覚。
そこまではいないのかなぁ、しかし、人が浴衣で動くと3倍くらいの人数に見えるからなぁ。
そこに拙者も混じって踊るのだが、楽しさしかないワ。
人々が踊っている、自分も踊っている、その渦の中で何を考えているかというと、「知ってる人いるかなぁ~」とよく見ている。

ちなみに10種類ある中で、3つがお気に入りで「かわさき」「猫の子」「春駒」。この3つさえ抑えておけば大丈夫で、実を言うと他のやつはよく分からん。

4時間エンドレスで音頭が流されるかと思っていたが、休憩が3回あった。その度に拙者はビールを飲んだ。水分補給しないと熱中症になると思って。
だいたい2リットル摂取したところで頭がぼ~となってきた。
「踊りの振りが分からん」という症状に見舞われた。
2リットルは多すぎたな、1.5くらいでやめとけばよかった。

これによってダメージを受ける。
酔っ払っているのに、激しく下駄を打ち鳴らしたがるのが拙者で、下駄の歯がすり減っていたこともあり、どうも地面で右足の人差し指を勢いよく削ってしまったようだ。
流血しだした。
とくとく血が流れ、徐々にねちょっとして、指と下駄が血まみれになった。
踊りながら右足を見ると、血の赤が生々しくてちょっと怯んだ。
「あー、地面が血まみれになったらどうしよう、怖がられるかなぁ~」
と、とても心配した。
だが、幸いにして血は下駄から溢れることなくとどまり、そのまま踊り続けるうちに血はとまった。
下駄は良いタイミングで買い替えるべきだと学んだ。

そういった身体的ダメージを受けはしたが、踊りは超絶に楽しくて、派手な浴衣の人、揃いの浴衣の人、帽子の人、手ぬぐいの人が渦を作る。下駄の音、手拍子の音が鳴り響く。音頭は相変わらず何言ってるのか分からず頭がぼ~っとなり、時折風がさぁーと流れる。踊りに集中できるとトランスに入り、自分が世界なのか世界が自分なのかよく分からなくなってくるのがいい。

定時になると郡上おどりin京都は終演を迎えたが、仲間と三条の河原で延長戦をした。
いうても本編で全力を出し切っていたし、特に踊りたい欲求のない和装集団の夕涼みといった体だったが、程よく知らぬ人との絡みがあって、良い時間になった。

フランス人と日本人夫婦の子ども、兄と妹と遊ばせられた。サツキとメイくらいの年の頃だろうか。
兄は体を動かしたい盛りらしく、側転を披露する。
「スゴイ!」
と感嘆してやると、
「やって!」
と、側転をやらされるのである。
拙者はノリが良いので、側転の真似事をし、そしてそれはできず、倒れ込むのであるが、それを見た妹が助け起こしに来てくれるのである。
小さい女の子に手を持ち上げられたら、キュンとするではないか!

その後も、あれやって、これやって、お菓子頂戴と、不躾極まりない連中で、酔った体で平均台のようなことをさせられたり、みそそぎ川に手を突っ込まされたり、濡れた手で髪をくしゃくしゃされたり、そのくせ踊りはちゃんとやらないので、なんやねんと思うのだが、誰にも相手にされないオジサンでいるよりはいっか。

彼らが帰ったあとは、餃子を頂いたりして、はむはむと美味しい思いをさせてもらい、締めで何かを踊ろうかとブルートゥーススピーカーから流れる曲は、マイムマイムだったり、あいみょんのマリーゴールドだったりして、ぜんぜん盆踊りじゃなくて、適当に踊っていたら飛び入り参加の人達が来て、一緒に踊って、それは踊る自由を行使した初夏の夕涼み。

楽しくて永遠に味わっていたいと思うほどの時間は、こんな感じ。

皆さまありがとう。
楽しかった。
盆踊りシーズン、楽しみだね。

以上。

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投稿者: 石黒わらじろう

京都の古い民家で暮らしている。 趣味はランニングとブログと盆踊りを含むフォークダンス。 別名義で書いた小説は映画の原作として採用された。 自分で建てた小屋にて暮らしていたことがある強靭な狂人。 地球にも自分にも健康な生活がしたい。

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