ここ数年は普通の飲み会というものをあまりやらなくなっていて、それはコロナ禍のせいでもあるし、「登山+飲み会」や「ラン+飲み会」など趣味をスタート地点にした方が楽しいと思っているからである。
それなのに、人妻から「実は友達と会う予定があるのですけど、そちらでも友達を集めてもらって飲み会をしませんか?」という提案を受け、困惑した。小さな怖れも感じる。なにせ、1度しか会ったことがない正体不明の相手だからである。
だが、断らない。
最近飲み会が多すぎる、メンバー集めるの面倒くさい、人妻と飲んで何かが起こってしまうのも面倒くさい、などという気持ちなのだが、「いいですね、やりましょう」と返事をしてしまうのである。

相手が3人なのでこちらも3人だなと思って、2人だけ集めれば良かったのだが、日程が1週間切ってたし、飲み会の主旨が微妙なライン。というのも、出会いを目的にされるとガッカリされるかもしれんし、かといって他の目的も不明瞭であるし……、ガツガツしてなくて、トーク力があって、相手に不愉快を与えない安全な男性。
思い当たった何人かに連絡してみたが、断られたり微妙な返事だったりして、途中からめんどくさくなってくる。
さらには人妻側でも友達たちはめちゃめちゃ乗り気というわけではないと聞き、この話は無しになる可能性もある。
知らんわー、となるのだけれど、拙者は不確定要素のある方が楽しくなるレベルに達しているので、「二次会から合流できたら合流する感じでどうですか?」と人妻にお伝えしてプレッシャーを取り除く。こちらはこちらで一次会が楽しくなるようにメンバーを募ったところ(人妻と会うことを伝えない)、3人で良いのに6人になった。
はい、カオス。

こういう状況で当日を迎えて、オモシロいけど展開が読めなくてソワソワしてくる。だが、拙者より展開が読めないのは、参加したメンバーの方だったろうな。
店名に地名と生き物の名前がついている飲み屋に集まり、この後に人妻と会うことになってる、と情報が漏れた時の反応は、鳩が豆鉄砲をくらったよう、と言うか、登山している時にゴメン帰り道わからんくなった、と言った時のような反応で、そんなの聞いてない、と言ってくるので、「展開が分かってることだけに参加してたら、ぜんぜんおもんないやないか。Keep going!」とコンサルみたいな謎英語を使って、有無を言わせず泥舟に乗せる。

さて一方、人妻の方は友達の説得も終わり、9人入れる居酒屋を予約するという手際の良さを発揮し、拙者はそのメールを受け取った時、驚きと感動を覚えた。

参加者それぞれがミステリーを抱えて、飲み会の会場や、メンバーや、人妻に会うことがちょっとづつ明らかになったが、まだ人妻の友達は未婚か既婚か、もしかしたら男性の可能性もあり、二次会会場で待つ間、飲み会なのにみんな無口になっていた。

そしていよいよ、正体不明の3人が会場に到着するのである……。

つづく!

と、引っ張りたいところだが、このまま書く。
無茶苦茶な女たちが現れた、というのであれば更に筆を振るうのであるが、3人とも既婚だというのは速攻で判明したし、気さくで喋りやすかったし、こちら側のメンバーも喋りやすそうだったし、普通に楽しい飲み会だった。
酒の提供速度が遅いとは感じたが、思っていたより楽しくて、時間の感覚がなくなって、知らん間に終電が終わっていた。人妻たちの方も近くのホテルにみんなで泊まるような会だったらしく、終電を気にしなかったし、土曜だし、朝まで遊べそうな勢いで盛り上がった。

みんな昔からの友達みたいな気安さで、会う前のソワソワ感が嘘みたいだったな。
緊張と緩和。最高のエンターテインメントだった。

出会い、打ち解け、盛り上がり、しかし終宴を迎え、女性陣とはさよならし、鴨川に出て、花火をした。
煙少なめで音も出ず本数も少ない大人の花火をしたわけだが、少年のような青春時間。
おっさんを自認しておるが、これからもこういう時間をどれだけ過ごせるかが勝負なのかもしれん。

この夜はあまりにも楽しくて、今後もよく知らない女性との飲み会が実施されるポジションにいるにはどうしたらいいのかなぁ、今から準備できることあるかなぁ、と頭に浮かんでしまって、馬鹿馬鹿そんなことに人生を使うな、と頑張って消火せぜる負えない。
なかなか消えない花火の残像。

ちなみに飲みすぎて、家まで歩いて帰って、寄り道して牛丼食べたり、コンビニで焼き鳥を買食いしたり、そんな夜が心地よかったけれど、だいたい楽しい飲み会は、何かが失くなったり壊れたりするもので、案の定、スマホの画面が割れていた。
背中の傷は剣士の恥だけど、スマホの傷はあの夜の思い出ってことで、しばらくは大事にしておこう。

また近いうちに合コンしたいなぁ……。

以上。

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投稿者: 石黒わらじろう

京都の古い民家で暮らしている。 趣味はランニングとブログと盆踊りを含むフォークダンス。 別名義で書いた小説は映画の原作として採用された。 自分で建てた小屋にて暮らしていたことがある強靭な狂人。 地球にも自分にも健康な生活がしたい。

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