昨日まで二重奏だった鳴き声。
ピピピピと鳴けば、ピピピピと返す。ピピピピ ピピピピとずっと続く。
今ではピピピと独り言のように響くだけ。
ヒヨコがネコに襲われた。
拙者は庭に出て、椅子に腰掛け足元でヒヨコを遊ばしていたところ、ウトウトしだした。爽やかな秋の気候だったから。
悲鳴のような鳴き声が響いたと振り向くと、すでに灰色のネコがヒヨコを咥えた直後。
拙者は大きな声を出し、たしかコラッとか言ったはずで、ネコを攻撃すれば咥えたヒヨコを放すかもしれないと思ったが、地の利は敵にあってすぐに逃げられた。もう1羽の安全を確保せねばならないこともあり、なりふり構わず追いかけることもできなかった。
攫われたのはオスの方か、メスの方か?
と、もちろん考えた。
これは経済の問題である。
メスが生きていれば、卵を産んでくれるので経済的に助かる。また、メスはオスほど大きな声で鳴いたりしない。
でも、こうやって命の価値を計る自分に嫌悪感を抱いたりする。
メスが生き残っていたらホッとするのであろうか?
ホッとはした。
生き残ったのはメスの方。
オスが身を挺して守ったのかもしれない、巨大な敵に立ち向かい、メスが逃げる時間を作ったのかもしれない。
なあそうなんだろう、オスってのはそういう生き物なんだろ。
男が一番欲しいのもは名誉ある戦死。
キミは命を全うした。
もちろん、セキュリティが甘かったと悔やんでいる。
庭を網などでぐるりと囲んでやるべきだ。それには資金が必要になってきて、再び経済の問題がやってくる。
いや、気を抜いたのが悪かったか。
ヒヨコたちも足元で遊んでくれてたら良かったのに。
秋空の下で残されたメスは半日鳴き続け、いつもより瞳が潤んでるような気がした。
キミは男前だったんだよなぁ。美しさのある顔立ちと体型だった。食欲も好奇心も旺盛で、主張がはげしく、鳴き声に困る時もあったけど、最初に手の甲にぴょんと乗ってきてくれたときは小さく感動した。
ごめんね、さよなら。
もう二重奏ではなくなったけれど、守ってくれたメスを精一杯大切にして、守りの強化も頑張るよ。
ただでさえ寂しくなる秋なのにな。
以上
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