こんにちは、グロワラクリよりお送りしますのはフルートコンサートの話。
2021年12月26日(日)、FLUTE QUARTET CON -la natura- を鑑賞しに行きました。
楽しくて心地よい演奏会でした。

なぜ私が、フルートコンサートに?

さて私は、山野を駆け巡り、ビールを飲んで、料理して、たまにダンスや盆踊りで楽しむ。そんな生き方をしておりますので、フルートという高尚な楽器には縁がありません。クラシック音楽を聴くことは少なく、J-pop、アイリッシュ、サルサ、そして音頭が私の守備範囲です。

そんな私がなぜ、フルートのコンサートに赴くのか?
それは「フルート将軍に心を支配されているから」という理由ですが、意味分からないですよね。
この記事を読んでもらうのが良いのですけど、
>>聴き惚れる。山本英さんのフルートリサイタル
一般的に言うと、山本英さんのファンであり、推しであり、信者、です。
多くの人にファン心理というものがありますが、私も同じです。
いや、それより大きいかもしれない。
去年のリサイタルを拝聴してからというもの、大きな影響を受けていて、自分が書く小説の登場人物にしたりして、勝手に思い出を積み上げています。
捉えようによってはキモいんですけど、去年の12月から今年の9月頃まではコロナで娯楽なき世の中でしたから、かの生演奏が私に与えた喜びの大きさを慮っていただきたい。

ですから、私がコンサートに赴くのは当然なのです。
あとは「誰か誘って行こうか?」と、最後まで悩みました。
当日を迎え、各地が寒波に見舞われて交通が混乱しているという情報も入る中、大阪の地へ参ります。
会場のザ・フェニックスホールには30分前に到着。1人で気ままに。
誰かを誘うと、その人が楽しめたかどうかが気になってしまう性分なので、今回は1人の世界に入り込むことにした。

そびえ立つ、ザ・フェニックスホール

困惑

時間がきて、体温測定され、半券を渡し、入場する。
しかし私は観客席に入り、困惑します。
自由席!
どこに座れば良いのか?
10番以内に入場できたので、あらゆる選択肢があったのです。
最前列、2列目の中央、2階席最前列中央など、
「ど、どこに座ればいいのだ?」
と、ワナワナしました。
センターの方が音が良いのかな? ここに座ると前の人の頭が邪魔だったりするのかな? どれだけ席が埋まるのかな? 隣に人が来て息苦しさを感じたりするかな?
という思考が巡って、訳わからなくなって、最もリラックスできそうな席を選ぶことにしました。
この判断は、演奏が始まった後も困惑が残ることになったので、事前にホール情報を得て、狙いを定めておけば良かったです。

ともかく、席に陣取って、キョロキョロと周りを見渡して、天井の形がカッコいいなぁと思ったり、スマホの電源が切れているか確かめたりしましたけど、なぜかやたらと緊張しました。
緊張の正体は、場違いなのではないか、という心理です。私のようなヤツが、高尚なフルートのコンサートに来るなんて「おめぇーの席ねぇーから!」と、誰かに言われるのではないかと、ソワソワします。
これは自由席のせいだ、自由席には悪魔が潜んでいる。

定時になって、電子音が流れ、客席が暗くなると同時にステージにスポットライトが当たる。譜面台と椅子、MC用のマイクが置いてあり、とても絵画的でした。私の期待感も高まります。

CONのコンサート

CONの皆様がドレス姿で登場され、拍手が巻き起こり、舞台にお上がりになられるのですが、CONについて言及の必要がありますね。
東京藝術大学の同級生で結成されたフルーティストの4人組。角 芽吹さん、松岡 優さん、嶺井 千奈さん、そして山本 英さんです。今年大学ご卒業された方々で、英さんは大学院に進学されました。
皆様、青系色のドレスをお召しで、、、あっ、紺色か!
CONというユニット名は「共に……」を意味しているそうです。

舞台上に視線を向ける私は、
「ステージが近すぎてドキドキする!」
と、思っており、1曲目なんかは、そのドキドキと「この席で良かったのか?」という困惑で、よく分からないまま終わってしまった。
いや、本当にステージが近くて、5歩、本気出せば3歩でそこに行けてしまうので、畏れおおかったのです。

ですが、曲の後に松岡さんのMCがあり、これがへにゃっと柔らかなお喋りで、かなり緊張が解けました。
そんな柔らかな松岡さんも、いざフルートを構えると、一気にオーラがバーン! と出るから、アーティストはすごいと感服します。
お陰様でその後は楽しく過ごさせてもらい、特に2曲目(E.ボザ:夏山の一日)はCONのオハコらしく、心踊るというか、私は誰にもバレないように体の内側だけで踊っていたのです。

たくらみに満ちたプログラムで、3曲目(C.サン=サーンス:組曲<動物の謝肉祭>)はアルトフルート、バスフルート、ピッコロを登場させ、音域の広がった編成でした。
最後の6曲目は多久潤一朗さんによる書き下ろしの作曲で、特殊奏法のオンパレード。3連結のフルートがでてきたり、居眠りのパフォーマンスがあったり、驚きの連続でした。
「楽しい」
場違いなのではないか、と心配していた私が楽しい、という感想を持てたのが嬉しくて、良い構成だと思います。

楽しいだけではありません、時折、フルートの音色がめっちゃ気持ちよく響く時があって、
「その音、その音、今の、今の」
って、マッサージ師にツボを押してもらったかのような刺激を感じます。
私には4人の内の誰が出した音なのか解明できず、聴く力がない点が残念ですけどね。
それでも、気持ちいい音がつづくと、私の全世界が音と旋律だけになる時がある。
雑念が消え、思考が消え、音と旋律だけの世界にトリップする。視覚情報ですら音になる。
縦も横も時間もなくなって、音楽だけがあるような、
気持ちいいを超えて、魂だけがさざ波に揺られているようで、その振動をいつまでも体の中に閉じ込めておきたい、と私は願った。

翌々日も振動を感じれた、と思う。

普段から音楽に接する機会はありますけれど、もっぱらデジタル化されたものばかりで、こんな風に時間と空間と振動を共有できる機会があって、とてもありがたかった。魂だけはステージと繋がってたんじゃないかと思います。

総評としては楽しかった。そして気持ち良い時もあり、可愛いと思う時もあり、大満足の演奏会でした。

混乱

演奏が終わり、
「ああ、来てよかったなぁ」
と、観客席を出ようと扉をくぐったところ、驚きました。
すぐそこに、何の前触れもなく、女神たちが立っておられた。
ハッ! としたら、私の視線の先には山本英さんの2つの瞳があって、永遠のような一瞬が訪れた。
その美しき瞳の中に吸い込まれそうになりました。
この場で感想をお伝えした方が良いのか!? お写真を撮らせてもらえたりするのか!? という思考も巡ったのですけれど、混乱して、風景が歪んできて、とてもじゃないけどその場所に留まれない、溶けてしまいそう。
私は文章に込める! と決意し、出口に向かって歩みを進めたのです。

御堂筋をご機嫌に帰った

さて、こんな文章でどうだろうか?
1年後とか読み返したときに、さざ波を思い出せるかな?
関西にCONのファンが増えて、公演の機会が増えるといいなぁ。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
山本英さんと角野未来さんの動画があるので、リンク貼っておきますね。
生演奏はこの20倍くらい効くので、考慮の上で御覧ください。

ファンになれ、ファンになれ、
CONにワクワク、ランランせよ。

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投稿者: 石黒わらじろう

京都の古い民家で暮らしている。 趣味はランニングとブログと盆踊りを含むフォークダンス。 別名義で書いた小説は映画の原作として採用された。 自分で建てた小屋にて暮らしていたことがある強靭な狂人。 地球にも自分にも健康な生活がしたい。

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